2017 Fiscal Year Research-status Report
腸管出血性大腸菌毒素SubABによる自然免疫抑制を介した病原性発現機構の解明
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17K10019
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
津々木 博康 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (40586608)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細菌毒素 / 腸管出血性大腸菌 / 自然免疫 / インフラマソーム / 小胞体ストレス / 宿主防御機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
Subtilase cytotoxin(以下、SubAB)は腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli ; EHEC)O113:H21株から新規の毒素として2004年に同定された。SubABはAサブユニットと5つのBサブユニットからなるAB5毒素であり、宿主の小胞体のシャペロン蛋白質BiPを特異的に切断することで小胞体ストレス誘導性の細胞毒性を示す。本邦でもEHEC感染症の重症患者からSubAB遺伝子を有する菌株が散発的に同定されており、新たな病原因子として重要視されている。我々は以前、SubABがマクロファージにおけるLPS誘導性の一酸化窒素(NO)の産生を抑制することを報告した。そこで本研究では、SubABが宿主自然免疫を抑制しEHECの生存・定着を促進する病原因子であると仮定し、自然免疫抑制を介したSubABの病原性発現機構を明らかにすることを目的とした。本年度は、SubAB産生O113 株(WT)とSubAB欠損変異株(KO)をマウスマクロファージ細胞株であるJ774.1細胞に感染させ、IL-1betaやIL-18の産生およびその成熟化に必須であるインフラマソームの活性化をSubABが抑制することを見出した。阻害経路を解析した結果、SubABはLPS誘導性のIFNbetaの産生を低下させ、STAT1依存的なcaspase11の発現を抑制することでインフラマソームの活性化を阻害すると考えられた。またこれらの抑制機構においてERストレスセンサー蛋白質であるPERKとIRE1alphaが関与することを明らかにした。現在、腸管病原性細菌感染病態におけるSubABの機能解析に有用な動物モデルの樹立を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SubABによる細菌感染における宿主自然免疫機構(IL-1betaとIL-18の産生およびその成熟化に必須であるインフラマソームの活性化)の抑制メカニズムを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
SubABの機能解析に有用な動物モデルを樹立し、腸管病原性大腸菌感染病態におけるSubABの宿主自然免疫抑制を介した病原性発現機構を解明する。また、SubABの病原性を制御する因子を探索し、これまでにない新たな阻害剤の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度に購入を予定していた抗体の納期が年度内に間に合わなくなったため未使用額が生じた。次年度に購入予定である。
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Research Products
(6 results)