2019 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性菌制御における腸内細菌フローラに関する探索研究
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17K10036
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
國島 広之 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60339843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大岡 正道 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (30367370)
遠藤 史郎 東北大学, 医学系研究科, 客員教授 (40614491)
竹村 弘 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80301597)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / フローラ / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、糞便検体の糞便細菌叢を引き続き、次世代シーケンサーを用いて解析した。クラスターAはLactobacillusが30.1%と最も多く、次いでBlautiaが 9.5%、Streptococcus 7.6%、Ruminococcaceae 6.8%、Bacteroides 6.8%であった。クラスターBはBifidobacterium 30.1%と最も多く、次いでRuminococcaceaeが 9.4%、Bacteroides 7.9%、Blautia 6.8%、Clostridiales 5.3%であり、乳酸菌産生株が多くみられた。クラスターCはStreptococcusが28.5%と最も多く、次いで Clostridiales 8.2%、Ruminococcaceae 7.3%、Lachnospiraceae 6.6%、Bacteroides 4.8%であった。クラスターDはBacteroidesが19.2%と最も多く、次いで Enterobacteriaceae 16.5%、Ruminococcaceae 6.3%、Clostridium 5.7%、Blautia 4.8%であった。クラスターEはBlautiaが21.5%と最も多く、次いで Clostridiales 11.2%、Ruminococcaceae 9.3%、Ruminococcus 7.1%、Lachnospiraceae 6.8%であった。クラスターFはRuminococcaceaeが10.9%と最も多く、次い でBlautia 7.7%、Bacteroides 6.6%、Ruminococcus 6.1%、Clostridiales 5.7%であった。併せて検出菌のバイオフィルム産生能などの菌株解析を行い、遺伝子解析を含めた検討を行った。主要な薬剤耐性関連遺伝子としてblaoxa-2、blaGES-5及びblaGES-9を保有しており、高度、低度及び非BF形成株であった(Abs 550nm=2.95±0.68、0.43±0.02及び0.02±0.01)。また、IV型線毛の伸長収縮による運動性はPa1にのみ認められた。psl遺伝子群はPa1及びPa5のみが保有していた。さらにpil遺伝子群は3株に共通して認められたが、一部の遺伝子(pilM、pilT及びpilV)において、アミノ酸配列はPa1のみ異なる相同性を示したことから、線毛構造の違いがBF形成能の程度に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度に施設環境のサンプリング調査について行い、欧州臨床微生物学会で報告したところ、検出菌のバイオフィルム産生能などの菌株解析の必要性を指摘されたため、次年度に継続して検討する必要が発生したため。当該の指摘事項について、改めてサンプリングおよび遺伝子解析を含めた検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
菌叢の類似性について、菌の種類と量で比較および、菌の種類のみで比較する。既存入居者は同じような菌叢で新規入居者と異なると考えられ、新規入居者との 差および高齢者共通の菌叢について評価する。qPCR法により、アミノグリコシド耐性遺伝子(aac6'-aph2')、メチシリン耐性遺伝子(mecA)、基質特異性拡張型-ラ クタマーゼ(blaSHV、blaTEM、blaCTX-M)、カルバペネマーゼ(blaIMP-1)、キノロン耐性遺伝子(qnrB、qnrS)、バンコマイシン耐性遺伝子(vanA、vanB)、バンコマ イシン耐性遺伝子、マクロライド耐性遺伝子(ermB)等を評価する。また、薬剤耐性に対するアプローチとして、従来の抗菌化学療法に寄らない手法の開発とし て、薬剤耐性菌の各病原因子における各種腸内細菌の影響について併せて検討する。
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Causes of Carryover |
想定した試薬類をより安価に購入することが可能であったため。 残額を遺伝子検査を主とする消耗品費として使用する予定である。
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