2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K10080
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
宮武 聡子 横浜市立大学, 附属病院, 講師 (50637890)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全エクソーム解析 / 傍シルビウス裂症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
傍シルビウス裂症候群は大脳のシルビウス裂周辺の脳形成異常や機能異常を呈する難治性疾患である。本研究は日本人の本疾患コホートに対して次世代シーケンサーを駆使した包括的なゲノム解析を行い、本疾患の責任遺伝子の同定と病態解明を目的とする。 本年度はさらに13家系に対して全エクソーム解析を行った。全エクソン分画を抽出したあとIllumina社のHiSeq2500もしくはNovaSeqを用いて網羅的な配列解析を実施した。取得したデータは教室で構築したデータ解析パイプラインを用いて処理し、遺伝子のコーディング領域を中心に、塩基置換、微小欠失や挿入配列変化、もしくはコピー数異常などを検索している。昨年度全エクソーム解析を行った90例と合わせ、症例で共通する病的な配列変化や構造異常の探索を継続している。 本年度は傍シルビウス裂症候群を引き起こすあらたな疾患責任遺伝子SCN3Aを論文発表した。本遺伝子はてんかん脳症の疾患責任遺伝子として知られ大脳の形成異常は伴わないと考えられていた。今回2症例の解析から、特定の遺伝子変異(p.Ile875Thr)において大脳形成異常が出現することを報告した。イオンチャンネルをコードする遺伝子とてんかんとの関係は近年明らかにされてきているが、大脳形成異常とチャンネル遺伝子もまた関連がある可能性を示唆する興味深い知見である。 これまで2年間の研究で、複数の新規遺伝子において、傍シルビウス裂症候群の疾患責任遺伝子と考えられる所見を見だしている。このうち1つの遺伝子についてはヒト由来の細胞を用いて機能解析を行い、変異体において、本遺伝子がコードするたんぱく質の機能異常が出現することを確認した。またモデル動物を使って当該遺伝子変異による疾患の再現と病態の解明を試みている。また2つの遺伝子についても機能解析に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本疾患を引き起こす新規遺伝子を複数同定しその機能異常の証明、および投稿準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
全エクソーム解析の実施とデータ解析を継続する。これまでに同定した新規責任遺伝子について、その機能解析やモデル動物による検証を行い、本疾患の病態を考察する。全エクソーム解析で原因の同定が困難な症例については全ゲノム解析を検討する。
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Causes of Carryover |
全エクソーム解析の実施を予定より遅らせたため、次年度使用額が生じた。平成30年度に使用予定の分は平成31年度に使用する予定である。
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