2017 Fiscal Year Research-status Report
尿中ボウマン嚢上皮細胞mRNAによる糸球体腎炎の非侵襲的バイオマーカーの確立
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17K10147
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
此元 隆雄 宮崎大学, 医学部, 准教授 (80315366)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尿中バイオマーカー / ボウマン嚢上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
IgA腎症などの慢性糸球体腎炎の重症度を簡便に組織重症度を評価できるバイオマーカーの確立のためにCD44などのボウマン嚢上皮細胞活性化マーカーの尿中mRNA発現プロファイルと半月体形成率および臨床的重症度との相関を検討した。 「ボウマン嚢上皮細胞の活性化とともに活性化ボウマン嚢上皮細胞が尿中に脱落し、尿中の活性化PEC mRNAの発現が亢進する」と仮定し著名な半月体形成を特徴とする抗糸球体基底膜抗体で惹起したラット半月体形成性腎炎を用いて、PECの活性化マーカーであるCD44について検討を行ったところ、尿中CD44 mRNAの発現は蛋白尿の増加とともに亢進し、また、半月体が形成される時期に発現のピークを認めた。 しかし、尿中落下細胞は複数の細胞が含まれており、そこから抽出したmRNAもどの細胞由来かは判別が不能である。そのためCD44mRNAの発現亢進をどの細胞由来であるかを推測するために、ボウマン嚢上皮細胞マーカーであるPGP9.5, PAX2、その他の主要な尿中落下細胞である尿細管細胞の主要なマーカーであるAQP2に対する発現比を検討した。 CD44/PGP9.5 mRNA比、CD44/PAX2 mRNA比およびCD44/AQP2 mRNA比においても、CD44の発現亢進は確認された。そこで、それぞれのプライマーが認識する塩基配列を含むプラスミドを作成し、コントロールサンプルを作成した。これにより、より定量的に発現解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
尿中落下細胞は複数の細胞が含まれており、そこから抽出したmRNAの発現亢進がどの細胞由来かは判別が不能である。 そのために、ボウマン嚢上皮細胞以外の尿中落下細胞のマーカーとの発現比較を行う必要があった。条件設定やプラスミドの作成に時間を要しており、サンプル数も限られていることから、サンプルの再採取の必要性が生じており予定通り進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験による解析と並行して、人の尿サンプルの収集も行い人の慢性糸球体腎炎のマーカーとなりうるかも同時に解析を行う予定である。また、より病勢を反映するマーカーの探索のために他のmRNA発現解析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初作成したサンプル数が限られており、また、より正確な評価のためにコントロールとして使用するプラスミドを作成する必要が生じた。そのため、予定よりも解析したサンプル数が減少した。また、学術集会において研究成果を発表する予定であったが、研究の遅れのため発表することができず出張旅費を使用しなかったため使用額が予定よりも減少した。 今後、動物実験のサンプル再採取を行い解析数を増やすとともに、臨床サンプルを用いた実験を行う予定であり、解析するサンプル数が増加することが予想されるため、次年度の使用額は増加する見込みである。
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