2017 Fiscal Year Research-status Report
P-selectin中和抗体を用いた川崎病分子標的療法の開発
Project/Area Number |
17K10149
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中村 明宏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50313854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 和幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30507786)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | P-selectin / complement / Kawasaki disease / developement / aging |
Outline of Annual Research Achievements |
小児にみられる原因不明の血管炎として知られる川崎病血管炎の発症機序を明らかにすべく、カンジダ菌体成分CAWSで誘導される川崎病マウスモデルを用いた実験病理学的研究を実施した。2017年度は炎症病態と関連の深い蛋白質のひとつであるP-selectinの、同マウスモデルの炎症好発部位における発現、分布を主に免疫組織化学的手法により調べた。DBA/2マウス腹腔内にCAWSを反復投与し、処理群の全てのマウスで血管炎が発症した。P-selectinは正常マウスにおいて大動脈起始部の大動脈弁基部付近に弱い発現が認められた。炎症好発部位でもともと発現が見られることは興味深いが、複数の抗体で確認したところ検出できないモノクローナル抗体もあり、この点は、実験条件を含めて引き続き検討している。 血管炎の発症に伴い同部位のP-selectinの発現は著明に増加した。p-selectinを発現する細胞については、血小板、内皮細胞が知られているが、本マウスモデルでは炎症部位の動脈の中膜層を構成する細胞群に強い発現がみられた。最近、血管平滑筋におけるP-selectinの発現とその病態生物学的意義について議論があることから、発現細胞の同定をすべく、各種マ―カー抗体による多重染色やFACS解析を検討している。 最近、ageと血管壁のP-selectinの変化に関する研究が報告されており、川崎病が小児に好発することを考えるとき興味がもたれる。私たちは現在、5週齢および8ヶ月齢のDBA/2マウスにCAWSを投与して血管炎の発症およびp-selectinの発現を調べている。現時点で、モデル作成から組織のサンプリングまで完了している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
信頼できる抗体の入手に要した時間や免疫組織染色の条件検討等で実験が停滞し、計画に遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の前半修了までに当初予定していた基礎的検討と基盤データの取得を目指す。血管炎部位におけるP-selectin産生細胞の同定のため免疫組織化学染色に加えてFACS解析を導入して、実験の多角的かつ迅速な進行を図る。 さらに初代培養内皮細胞を用いたin vitroの実験系でP-selectinの役割を調べる。
|