2018 Fiscal Year Research-status Report
先天性腎尿路異常に合併する膜性腎症の臨床病理学的検討及び原因抗原の探索
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17K10158
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
金子 直人 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90791955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張田 豊 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10451866)
服部 元史 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50192274)
神田 祥一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60632651)
五島 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究チーム長 (70215482)
三浦 健一郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70408483)
秋岡 祐子 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90212422)
柴垣 芳夫 北里大学, 薬学部, 講師 (90235565)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膜性腎症 / 小児 / 先天性腎尿路異常 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
膜性腎症は、糸球体基底膜上皮下に免疫グロブリンGや補体等から成る免疫複合体が沈着し補体の活性化により惹起される疾患である。近年、成人の特発性膜性腎症の原因抗原としてM-type phospholipase A2 receptorが報告された。その陽性率は70 %に及び、特異的な治療への応用が期待されている。一方で小児の膜性腎症では、沈着する免疫グロブリンGサブクラスが成人例とは違うなど、異なる病因の関与が示唆されているが、未だ原因抗原は同定されていない。 本研究は、小児腎領域において重要な疾患である先天性腎尿路異常(日本の小児末期腎不全の原因疾患として最多)に合併した膜性腎症症例を主たる対象とする。対象症例から血清サンプルを集積し、ヒトプロテインアレイによる特異的自己抗体の検出とショットガンプロテオミクス法による自己抗体認識抗原の検出を行うことで、小児特有の新規病因自己抗原を同定することを目的とし、病態解明だけでなく正確な診断や特異的な治療の開発につなげるといった意義を有する。 昨年度は、東京女子医科大学および協力施設において、膜性腎症を合併した先天性腎尿路異常の症例、小児特発性膜性腎症の症例を集積し、臨床像の検討および血清サンプルを収集した。 本年度は、協力施設における倫理委員会の承認作業を完了した。また各症例の臨床情報、病理情報について検討を重ね、類似点を見出し、以下の4つのグループ;①特発性膜性腎症-免疫グロブリンG4優位、②特発性膜性腎症-免疫グロブリンG3優位、③先天性腎尿路異常合併膜性腎症、④コントロール、に分類した。これらのグループ毎にサンプルを整理し、協力施設へ送付、解析を進めている。コントロール群については、さらに症例の集積が必要と考えられたため、対象群のサンプル解析と並行して症例集積を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に引き続き協力施設における倫理委員会承認作業と、小児膜性腎症症例の集積、サンプル収集および解析を行うことを目標としてきた。 現時点では、倫理委員会作業は完了し、協力施設へのサンプル送付と解析は始まっており、おおむね順調に進展していると考える。ただし、解析結果の比較のためのコントロールグループにおいては、症例数の増加が望ましいと考えられたため引き続き症例集積を継続していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した血清サンプルを用いて、ヒトプロテインアレイによる特異的自己抗体の検出とショットガンプロテオミクス法による自己抗体認識抗原の検出を試みる。同一分子の存在が明らかとなった場合には、疾患発症と関与している可能性が極めて高いと考えられるが、in vitroおよびin vivoの実験系を用いて、その分子が疾患を惹起するかの検証を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、旅費および人件費などを特に使用しなかったためである。次年度以降、成果発表などのために利用する予定である。
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