2018 Fiscal Year Research-status Report
重症壊死性腸炎に対する希少糖生理作用の解明と新規予防的治療方法への展開
Project/Area Number |
17K10180
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
下野 隆一 香川大学, 医学部, 准教授 (60404521)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 喬之 香川大学, 医学部, 助教 (00746696)
田中 彩 (西村彩) 香川大学, 医学部, 助教 (30459200)
形見 祐人 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (50791224)
加治 建 鹿児島大学, 附属病院, 特任教授 (50315420)
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 短腸症候群 / 壊死性腸炎 / 栄養障害 / 腸内フローラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本実験の背景と目的: NEC(壊死性腸炎)は低出生体重児に多く発症し、腸粘膜の虚血性壊死を主病変とする疾患で、NECの発生原因の真のメカニズムについては十分解明されていない。一方、NECになった患児は救命されても腸管が極端に短い短腸症候群になることが多く、消化管が長期間使用できないため栄養障害やそれに付随する肝機能障害(IFALD: Intestinal Failure Associated Liver Dysfunction)を起こし、生命予後のみならず成長障害も引き起こす。本研究はNEC病態に関連の深い短腸症候群ラットモデルに対する希少糖などの細胞増殖因子の影響を調べることを目的とした。短腸症候群ラットモデルの作成:短腸症候群ラットモデルを作成することから本実験はスタートした。ラットを開腹の後、腸管を切断し、そのまま吻合、腹壁を閉腹するいわゆるsham群と空腸~回腸を70%切除後腸管を端々吻合する群、とに分類した。さらにそれぞれに対して細胞保護作用のあるguar gumを投与する群を作成した。この4群について本年は腸管粘膜障害とguar gumによる粘膜障害ついて検討した。結果:短腸症候群ラットを用いても実験にて70%切除した群はsham群と比較して有意に吻合部付近の炎症による粘膜脱落所見が残存していた(HE染色およびCD45)。またguar gum投与群ではこの炎症所見が有意に軽減した。それに応じて腸内細菌叢の是正と短鎖脂肪酸の増加傾向が見られたもののguar gumの抗炎症効果が真に腸内細菌叢を通じての変化であることは証明できなかった。考察:本短腸症候群モデルに対するguar gumの効果は炎症性変化を軽減することが分かった。guar gumは腸内細菌叢を是正する、といわれているため今後はguar gumの抗炎症効果が腸内細菌叢を介してのものかどうか検証していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物モデル作成が安定化傾向にあるため、組織や便などの検体採取が容易になった。また、実験結果も予想以上のものが得られるようになってきた。
|
Strategy for Future Research Activity |
短腸モデルでは消化管吻合部付近に炎症作用があり、guar gumにて軽減できることがわかったが、腸内細菌叢や短鎖脂肪酸の影響によるものかどうかの検証が必要と考えている。
|
Causes of Carryover |
ラット短腸モデルにおけるguar gumの抗炎症効果が短鎖脂肪酸や腸内フローラの変化によるものかどうか、確認する必要が生じたため。具体的には70%短腸モデルとsham群、それぞれにguar gumを加えた5匹ずつ4群を作成し、短鎖脂肪酸と腸内フローラの変化状況を調べる。
|
Research Products
(8 results)
-
[Journal Article] Partially hydrolyzed guar gum improves small intestinal mucosal damage after massive small bowel resection along with the change of intestinal microbiota2019
Author(s)
Takayuki Fujiia, Yoichi Chibab, Haruyuki Nakayama-Imaohjic, Shun Onishid, Aya Tanakaa, Hiroto Katamia, Tatsuru Kajid, Satoshi Ieirid, Takanori Mikie, Masaki Uenob, Tomomi Kuwaharac, Ryuichi Shimono
-
Journal Title
Journal of Pediatric Surgery
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
-
-
-
-
[Presentation] Partially hydrolyzed guar gum improves small intestinal mucosal damage after massive small bowel resection along with the change of intestinal microbiota2019
Author(s)
Takayuki Fujiia, Yoichi Chibab, Haruyuki Nakayama-Imaohjic, Shun Onishid, Aya Tanakaa, Hiroto Katamia, Tatsuru Kajid, Satoshi Ieirid, Takanori Mikie, Masaki Uenob, Tomomi Kuwaharac, Ryuichi Shimono
Organizer
52nd nnual Scientific Meeting of the Pacific Association of Pediatric Surgeons 2019
Int'l Joint Research
-
-
-
[Book] 小児臨床栄養学2018
Author(s)
日本小児栄養消化器肝臓学会、下野隆一、田中彩、他
Total Pages
509
Publisher
診断と治療社
ISBN
978-4-7878-2339-7