2017 Fiscal Year Research-status Report
新規IL-1サイトカインによる表皮バリア機能の制御
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17K10212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三苫 千景 九州大学, 大学病院, 准教授 (30507778)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IL-1サイトカイン / 紫外線 / 皮膚 / バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト皮膚表皮細胞(normal human epidermal keratinocyte, NHEK)においてIL-37、その受容体IL-1R8/IL-18R alphaの発現が確認された。紫外線照射により、NHEKではIL-37 mRNAの発現が増加し、breferdin Aで前処理した場合、細胞内でIL-37蛋白発現は増加した。処理したNHEKの培養上清中にIL-37蛋白は検出されなかった。Recombinant IL-37をNHEKの培地に添加して紫外線を照射しても炎症性サイトカイン(e.g. IL-6、IL-8、TNF-α)の産生は抑制されなかったが、small interfering IL-37 (si IL-37)を導入したNHEKに紫外線を照射するとそれらの産生は抑制された。また、紫外線照射により誘導され、皮膚バリア機能の制御において重要な役割を有するaryl hydrocarbon receptor (AHR)活性を有する化合物(グリテールなど)を添加した結果、IL-37の発現が増加する傾向がみられた。以上の結果より、IL-37は皮膚表皮細胞において過度の炎症を抑制するサイトカインであることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究において、ヒト皮膚表皮細胞において紫外線照射により誘導された細胞内IL-37が抗炎症作用を発揮していることが確認された。バリア蛋白の制御については、IL-37遺伝子をノックダウンしたNHEKを用いて検証する予定である。培養細胞で確固たるデータが得られないため、予定していた三次元培養皮膚や紫外線照射マウスの実験にはまだ取り組めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
生体内で細胞質内や核内で発現しているIL-37がバリア蛋白の発現を制御して可能性を考え、si IL-37でIL37遺伝子をノックダウンしたNHEKにおいてコルネオデスモゾームやタイトジャンクション(TJ)蛋白の発現を検証する。選別を終了した炎症性皮膚疾患のパラフィン包埋切片を用いてIL-37とバリア蛋白の発現については、パラフィン包埋切片でも染色が可能であるバリア蛋白(e.g. フィラグリン、ロリクリンなど)においてもその発現を調べ、両者の相関を検証する。In vivoにおいては、紫外線照射をしたマウスの皮膚を採取し、IL-37の発現とその分布について検証する予定である。
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Causes of Carryover |
経費節約を試みたため、次年度へ繰り越しが生じた。次年度に消耗品費として使用予定である。
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