2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K10231
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
難波 大輔 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (10380255)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表皮角化幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト表皮角化細胞動態を詳細に解析することで、角化幹細胞からの培養表皮シートの形成原理と創傷治癒における表皮組織の閉鎖における表皮角化細胞の集団的遊走機能解明を目指している。上記の表皮再生原理解明のため、本年度は以下の研究を行った。ヒト表皮角化細胞はマウス3T3線維芽細胞をフィーダー細胞として共培養すると、コロニーを形成する。細胞分裂によってこのコロニーは増大するが、同時に多層化が起こることが知られている。本研究では、位相差顕微鏡を用いたタイムラプスイメージングによってこの過程の連続画像を取得し、細胞分裂周期、細胞移動速度、細胞分裂面について、定量解析する手法を確立した。このフィーダー細胞を用いた培養系では、ヒト表皮角化細胞は幾つかの種類のコロニーを形成するが、それぞれのコロニータイプでの上記細胞動態パラメータの定量解析を行ったところ、幾つかのパラメータで違いを見出した。また、位相差顕微鏡画像から、多層化に関する細胞動態を見出したが、さらにその動態を確認するため、細胞核と細胞膜を蛍光ラベルできるウイルスベクターを作製し、共焦点レーザー顕微鏡によるタイムラプス3次元イメージングを行った。その結果、位相差顕微鏡で観察された細胞動態が、やはりz軸方向への細胞移動であることが明らかとなった。さらに、創傷治癒での表皮角化細胞の集団的遊走を解析するために、本年度は、培養系においてヒト皮膚片から角化細胞が遊走する過程をイメージングする系の開発を行った。手術から得られた余剰皮膚片をイメージング用ディッシュに固定し、培養数日後に皮膚片より角化細胞が遊走することを確認した。その状態のイメージング用ディッシュをタイムラプス観察したところ、皮膚片より表皮角化細胞が集団的に遊走する様子を確認することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のとおり、本年度は、ライブイメージングによって、ヒト表皮角化細胞系における細胞動態の定量解析を行うことが出来た。同様に、ヒト皮膚片からの集団的細胞遊走の解析系も立ち上げることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
培養系における定量解析が終了したので、今後は得られたパラメータを用いた細胞動態のモデル化と、それを用いた数値シミュレーションを行い、ヒト表皮角化細胞のコロニー形成を計算機内で再現する予定である。また、これらの細胞動態に影響を与える因子の特定を目指す。
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