2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study on new delirium pharmacotherapy based on symptom-biomarker-pharmacological profile
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17K10298
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷向 仁 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60432481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 真一郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (50379765)
中川 俊作 京都大学, 医学研究科, 助教 (50721916)
武田 朱公 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (50784708)
大井 一高 金沢医科大学, 医学部, 講師 (70629203)
片山 泰一 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 教授 (80333459)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | せん妄 / 脳機能 / 向精神薬 / バイオマーカー / 視線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も年間を通して新型コロナウイルス感染症対策の影響により、計画通りに研究を進めることが困難であった。そのため、これまでのデータベースを用いた後ろ向き検討結果と実地臨床を照らし合わせて考察を行った。このことを含めて研究機関全体を通しての報告を行う。 ・せん妄徴候早期評価のための課題開発: 患者負担を軽減しつつ、せん妄の早期徴候把握を目指して視線計測装置(Gaze finder)を活用することを検討した。この装置はモニターに映る映像を見てもらうだけで評価が可能であるため患者負担はごく少ないと考えられた。モニターに映し出す課題としては、せん妄に早期から高頻度に認められる注意力障害と症状として特徴的な幻視を念頭に検討し、パレイドリアテストを利用した評価をパイロット的に施行した。その結果、せん妄発症前にパレイドリアがみられた者では健常者と異なり、特にサッケードの違いが大きいことが示唆された。 ・薬剤評価:過去のせん妄発症例(過活動型が中心)に対する抗精神病薬を用いたマネジメントの結果を、抗精神病薬の受容体プロファイルに着目し後ろ向きに検討したところ、ヒスタミンH1受容体やノルアドレナリンα1受容体に強い親和性を示す抗精神病薬を用いた場合、他の受容体親和性への強度に比しせん妄が増悪しにくい可能性が示唆された。このことから、せん妄のマネジメントに受容体プロファイルを考慮し薬剤選択を行うことの意義が考えられた。 ・今後の展望:近年せん妄は発症予防により力点が置かれつつあること、せん妄を発症した場合の薬物療法的マネジメント、特に終末期において抗精神病薬使用に懸念が示されつつあるなどせん妄対策にも大きな変化がみられてきている。計画が予定通り進められなかったことはとても残念だが今回の探索的な検討結果をもとに、今後も検討を進めていきたいと考える。
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Research Products
(15 results)