2018 Fiscal Year Research-status Report
発達障害・精神疾患を有する大学生不登校の実態および支援の現状と課題
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17K10329
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水田 一郎 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 教授 (20273641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 喬 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 教授 (10273632)
望月 直人 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 特任准教授(常勤) (20572283)
三上 章良 大阪大学, キャンパスライフ支援センター, 准教授 (60301272) [Withdrawn]
竹中 菜苗 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 講師 (20510291)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大学生の不登校 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、我が国の大学において学生の不登校が注目されている。大学生の不登校の背景要因として、これまでさまざまな心理社会的要因が探索されてきたが、発達障害や精神疾患に焦点を当てて系統的に調べた調査は存在しない。本研究は、発達障害・精神疾患を有する/有しない不登校学生の①頻度、②不登校の誘因・持続因・解消因、③不登校学生に対する支援の現状と課題を明らかにすることを目的とするものである。 平成30年度は初年度(平成29年度)に開始した三つの調査(①研究代表者の所属する大学の教職員を対象とした質問紙調査、②研究代表者が所属する機関[キャンパスライフ健康支援センター]で対応した不登校学生の担当者を対象とした質問紙調査、③キャンパスライフ健康支援センターに来談歴のある不登校学生を対象とした質問紙調査・面接調査)を継続するとともに、結果の一部について分析を行った。 ①については、学生の不登校の把握状況や対応が部局によって異なる可能性があると考えられたため、部局ごとに調査を行い、協力の得られた全ての部局での調査を終了した。その結果、大学全体では2.7~3.2%(学部2.5~3.0%、大学院3.0~3.9%)の学生が不登校状態にあることが分かった。頻度は部局によってかなり異なっていた(0.0~10.6%)。教職員の不登校学生への対応にも様々なものがみられた。 ②、③については、調査継続中であり、分析を終えていないが、③の面接調査については、来談学生の担当者からの調査協力の依頼に応じた学生を対象とした面接調査によって、不登校の誘因・持続因・解消因について示唆的な結果を得ることができた。不登校の開始には「学業へのモチベーション低下」、「新しい人間関係構築における躓き」が、維持には「蓋をする(心性)」や「自室に閉じこもる(行為)」が、解消には「相談する」などの要因が関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教職員を対象とする調査において、部局との調整に予想以上の時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、教職員対象調査で明らかになった不登校学生に対して調査協力を呼びかけ、同意した学生に対して調査を行う予定であったが、「調査」を理由に不登校学生に接触することに対して不安感や抵抗感を持つ教職員が多く、この経路による不登校学生へのアクセスは断念した。代わりに研究代表者・研究分担者・連携研究者が所属する機関(キャンパスライフ健康支援センター)に来談歴のある不登校学生に担当者から調査協力を呼びかけることとした。不登校学生へのアクセス経路をこのように変更したことにより、本研究の結果を調査対象の大学に一般化することがやや難しくなった。これに対する抜本的な対応策を講じることは困難なため、変更後の方法で今後も調査を継続する。 具体的には、①研究代表者・研究分担者・連携研究者が所属する機関(キャンパスライフ健康支援センター)で対応した不登校学生の担当者を対象とした調査を継続し、担当者からみた不登校の経過や背景要因等を明らかにする。②キャンパスライフ健康支援センターに来談歴のある不登校学生を対象とした質問紙調査、面接調査を継続し、発達障害・精神疾患の有無や、質的側面からみた不登校の誘因・持続因・解消因を明らかにする。
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Causes of Carryover |
事務補助員を雇用して事務作業に従事させる予定であったが、条件に合う事務補助員を見つけることができなかった。 次年度は事務補助員を雇用するとともに、調査結果を様々な角度から分析し、その結果を公表する予定である。これに伴う人件費、謝金、および、物品費(書籍等)、旅費、その他(印刷費、通信費、学会参加費等)のとして助成金を使用予定である。
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Research Products
(1 results)