2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノバブル生成器の開発:バブル投与下超音波照射によるソノポレーション効果での検証
Project/Area Number |
17K10456
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
狩谷 秀治 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40368220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 昇 関西医科大学, 医学部, 教授 (90227215)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インターベンショナルラジオロジー / キャビテーション / ナノバブル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は高密度CO2ナノバブル含有液生成器の実用機を制作し、この器具による生体内ナノバブル投与が、生体内で利用できるキャビテーション効果を生じさせることを動物実験で証明することである。 H30年度までに特許出願のため試作した高密度CO2ナノバブル含有液生成器を用い、H31年度にて循環装置で得たバブル生成条件にて、豚生体肝でキャビテーションを生じさせる実験を行う方針となった。またこの生成したナノバブルが生体内で有効に使用可能であると確認することを目的とし、生理食塩水内にナノバブルを生成し目視で確認することを終了した。H31年度前半には循環液体中でもバブルを保つことが可能であると確認し、ここに超音波発生装置(SZ-100、ミナト医科学)で超音波を照射するとキャビテーションを生じさせることが可能であることを確認した。現状の装置では生体内キャビテーション効果の確認には血栓溶解よりも、細胞膜、細胞間にソノポレーションを生じさせるメカニズムを利用し、薬剤の細胞膜透過性で確認するほうが確実と考えた。本年度に豚肝臓にCO2入りナノバブルヘパリン加生理食塩水とシスプラチンを時間当たり定量的に注入し、シスプラチンの細胞内取込みに差が生じることを証明する比較実験を行った。現在までで、超音波照射を行うとシスプラチンの肝組織内の取り込みが増加する傾向にある結果を得ている。これは生体内でソノポレーションが生じているということである。完全な結果が出れば、生体内ナノバブル投与が、生体内で利用できるキャビテーション効果を生じさせることを証明できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
豚肝動脈からシスプラチンと二酸化炭素ナノマイクロバブルを同時注入し、肝表面から超音波照射を行うことで、組織内のシスプラチン濃度が上昇することを証明した。 全身麻酔下の豚6頭が用いられた。シスプラチンおよび二酸化炭素ナノマイクロバブルの投与は右大腿動脈から経皮的に肝動脈に留置されたカテーテルから行われた。シスプラチン100㎎と二酸化炭素ナノマイクロバブル(濃度1.07~2.50×109個/mL)100mLが同時に投与された。豚は開腹されており、肝内側左葉は肝表面から超音波照射(出力10W、周波数3MHz)が行われた。薬剤の注入直後に豚は安楽死させられた。超音波を当てた肝内側左葉と当てなかった内則右葉の双方から組織が切り出された。検体の白金測定方法は Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry (ICP-MS) により行われた。採取した検体の白金濃度の測定結果は豚6頭ともは内側右葉に対し、内側左葉でいずれも高く、ウィルコクソンの符号順位検定ではp=0.03125(<0.05)と超音波照射によって有意に上昇した。 切除した肝切片に超音波波照射の有無による肉眼的差異はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究チームと外部評価者と議論した結果、超音波照射はすべて内側左葉、していないほうはすべて内側右葉であったため、もともと内側左葉の方が血流の関係、生理的要因によりシスプラチンの取りこみが高くなるのではないかとの指摘を受けた。したがって肝内側右葉に照射する左右逆の追試が必要との結論に至った。したがって、豚3頭を用い、内側右葉に照射する実験を行うことになった。現在この動物実験を遂行中であり、令和2年度前半に結果が出る予定である。得られた結果を学会で公表し論文にて公開する予定である。
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Causes of Carryover |
ソノポレーションの効果をインビボで行う方法を家兎から豚に変更し、放射性同位元素による評価から組織内シスプラチン濃度の評価に変更した。このため次年度使用額が生じた。
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