2018 Fiscal Year Research-status Report
悪性リンパ腫の放射線治療による免疫応答機序の解明と効果予測法の開発
Project/Area Number |
17K10477
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
江島 泰生 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70423233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楫 靖 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10273947)
平野 靖弘 獨協医科大学, 医学部, 助教 (50593191) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 悪性リンパ腫 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年4月には、緩和的放射線治療を行った悪性リンパ腫患者16名の治療効果について後方視的観察研究を行い、国際研究会で発表した。少数例の解析ではあるが、リンパ球/単球比の減少は、放射線治療後の早期の局所再発と生命予後不良のリスク因子であることを見出した。ROC解析にてリンパ球/単球比の局所再発に対する予測指標としてのカットオフ値を2.36と定めたところ、リンパ球/単球比2.36未満の症例では、7例中3例で3ヵ月以内の局所再発を来したのに対し、2.36以上の症例では8例中1例のみ早期再発を来していた。(p=0.024) また、悪性リンパ腫および白血病を含めた造血器腫瘍の中枢神経系浸潤で薬物療法に抵抗性となった症例に対して全脳全脊髄照射を行った13例について、治療効果、生命予後および有害事象について検討を行った。照射開始時に神経症状を有した症例の2/3で症状改善効果を認めたが、生存期間中央値は6ヵ月で、無増悪生存期間中央値は2カ月と予後は不良であり、特に悪性リンパ腫症例では中枢神経再発が半数以上にみられた。またグレード2以上の血液毒性も約5割にみられた。予後改善のために新たな戦略の開発が望まれるが、全脳全脊髄照射に加えて免疫療法を組み合わせる際には血液毒性が腫瘍免疫応答に及ぼす影響を評価しておく必要性が示唆された。この結果については2018年度に国内学会および国際セミナーで報告を行った。 さらに、中高度悪性リンパ腫に対して緩和的な単回照射を行った7例の検討では、照射病巣部の縮小効果の持続期間中央値は約2カ月であったのに対し、4ヵ月以上奏効していたものが1例あった。これらの奏功期間の違いについて、腫瘍組織の腫瘍免疫学的背景との関連性について今後検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の所属機関の異動によって、所属機関で抱えている対象となりうる症例数や治療方針の違いが生じたために研究内容の調整に時間を要し、大幅に進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は前向きの症例集積のみ行う予定であったが、見込まれる症例数が少ないために後ろ向き観察研究を組み入れて、既存の生検検体を用いた解析で補う予定である。 当初は自施設での免疫染色・フローサイトメトリーの実施を想定していたが、研究機関と研究分担者の変更に伴い、効率化のために外部機関への解析委託をする。
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Causes of Carryover |
計画の大幅な遅れによって検体の解析のための費用が未使用となっている。研究計画の修正で検体の集積数が減少した分、免疫染色、フローサイトメトリー、FISHなどの解析を外部に委託して効率化を図るために使用する予定である。
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Research Products
(3 results)