2022 Fiscal Year Annual Research Report
Pathophysiological analysis of immunodeficiency in critical illness
Project/Area Number |
17K10524
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小野 聡 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (30531355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾田 高志 東京医科大学, 医学部, 教授 (90531187)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 教授 (70531391)
宮崎 裕美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 外傷研究部門, 助教 (30531636)
山田 宗治 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10625164)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | compromised host / 免疫不全 / 敗血症 / CD4T細胞 / PD-1 / 制御性T細胞 / エンドトキシン吸着カラム |
Outline of Annual Research Achievements |
大手術、外傷などの外科的侵襲後の過剰な炎症反応とともに生じる免疫機能低下による易感染状態、さらには重症感染症や敗血症の病態について免疫機能を評価することにより、新しい治療戦略の確立や生命予後改善効果を目指した新たな周術期管理を確立することを目的とした。実際には、ICU入室高度手術侵襲患者を対象にCD4陽性T細胞におけるPD-1発現やそれに占める制御性T細胞(Treg)の割合について検討した。その結果、特に術前抗癌剤治療患者、透析患者では術前からPD-1発現CD4陽性T細胞が多く免疫麻痺状態にあることが推察された。また術後感染性合併症を起こした症例では、術前のPD-1発現CD4陽性T細胞が多いことに加え、術後CD4陽性T細胞に占めるTregの割合が有意に高値で、感染が制御されるまでは高値で推移した。同様の検討はICU入室敗血症患者を対象に行い、Tregが高値で推移する症例は予後不良であった。 次にラットに大腸菌静脈内投与による敗血症モデルを作成し、肝臓での生菌数や肝単核球でのIFN-γ産生能などについて検討した。その結果、投与された大腸菌は肝臓内に生菌として存在し、肝単核球でのIFN-γ産生能は正常肝に比べ著明に低下していた。そこでその対策として大腸菌などグラム陰性桿菌の毒素であるエンドトキシンを吸着するカラムを用いて体外循環を行いその有効性について検討した。その結果、エンドトキシン吸着カラムを1時間回すことによって、肝臓内の大腸菌が著明に減少していること、また肝単核球でのIFN-γ産生能が著明に改善していることが明らかになった。これらの結果からグラム陰性菌感染による重症症例に対するエンドトキシン吸着療法は、肝臓を中心とした生体防御能を改善する可能性が示唆された。
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