2019 Fiscal Year Research-status Report
乳癌の乳管内進展に関する画像評価と分子生物学的切除断端マーカー開発に向けた研究
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17K10565
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
蒔田 益次郎 日本医科大学, 医学部, 教授 (10229338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
軸薗 智雄 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 客員研究員 (10465312)
石川 朋子 お茶の水女子大学, ヒューマンライフイノベーション研究所, 特任准教授 (70212850)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳癌 / 広がり診断 / 造影超音波 / 細胞診 / マイクロRNA / 部分切除 / 切除範囲 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
乳房温存療法における造影超音波を活用した正確な切除法の開発と生物学的切除断端マーカーの探索を研究している。前半の部分は造影超音波などの画像診断により癌の広がり診断を向上させ、的確に癌を切除する手術法の開発を目指している。造影超音波による乳管内進展の所見は小さな低エコー域に血流が確認されるかどうかで、ある程度判断できることを報告した。この広がり診断を正確に手術に反映する目的で、造影超音波検査時にハイドロゲルフィルム剤を患者の乳房に貼付し、癌の広がりを下書きしたのち、水系エマルジョン樹脂塗料によって切除範囲の模型化を行う研究で、IRBの承認を受けて2017年4月から2019年2月までに実施した。乳房部分切除の断端陰性率に影響を及ぼす因子について乳房部分切除を施行した原発性乳癌92例を対象として検討した。標本上、全切片で断端から5㎜以上の距離が確保された場合を陰性と判定した。模型上の病変の数といった情報や臨床病理学的因子と断端陰性率との関連を検討した。断端陰性率は53.3%であった。模型上の病変数の増加と共に、断端陰性率は有意に低下した。組織型や核グレードも断端陰性率に関連した。単一病変の症例比の増加と切除技術向上に伴う単一病変の断端陰性率の向上により、経時的に断端陰性率は上昇した。後半の切除断端マーカーの検索は切除標本の癌・非癌ペアサンプルの採取、細胞検体からマイクロRNAを抽出した。ペアサンプルのうち質の良い非浸潤性乳管癌症例3例に対して定量的RT-PCR法に基づくマイクロRNAアレイ解析をおこなったところ、癌部・非癌部間の発現強度が有意に異なる2066種類のトランスクリプトがリストアップされ 、その上位には乳癌に関連するものも含まれていた。また、異常乳頭分泌症例で癌・非癌の細胞検体を収集し、解析したところ劣化の少ないRNAが得られるものもあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
的確に癌を切除する方法に関しては臨床研究を終えて成果があり、論文発表まで行えた。切除断端マーカーの探索の研究は癌・非癌ペアサンプルの集積は終了し、一部の症例で実際に解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
的確に癌を切除する方法の臨床研究では、造影超音波時のハイドロゲルフィルム剤が適応外使用のため、適応のあるハイドロジェルパッドに切り替えて一般臨床で継続している。論文発表したように手術の質を反映する指標としても有用な可能性があり、さらに研究を継続する。切除断端マーカーの探索研究はアレイ解析の症例を増やしていく予定である。すでに抽出されたRNAサンプルの良いものから臨床像などを参考に解析に回し、RNAサンプルの不足については追加して症例を集積する。また、異常乳頭分泌症例でのサンプル採取をさらに継続し、アレイ解析へとつなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
異常乳頭分泌症例の癌と非癌サンプルの収集、RNA抽出を行い、質の良いサンプルからアレイ解析を行う予定であり、それに必要な経費と考えている。
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Research Products
(5 results)