2017 Fiscal Year Research-status Report
胃癌におけるBRCA1/2遺伝子変異解析およびタンパク質発現とその臨床的意義
Project/Area Number |
17K10580
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
滝沢 一泰 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30706437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
羽入 隆晃 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50719705)
市川 寛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50721875)
田澤 立之 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (70301041)
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80207802)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90401736)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 胃癌 / 遺伝子変異 / BRCA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、胃癌におけるBRCA1/2遺伝子異常とDNA二本鎖修復機構関連タンパク質発現状況、およびPARP阻害剤やプラチナ系抗癌剤の治療効果との関係を明らかにすること、および、胃癌におけるDNA二本鎖修復機構の異常に着目した個別化治療発展の科学的基盤を確立することである。 平成29年度は、先行研究でBRCA1およびBRCA2の遺伝子変異が明らかとなっている胃癌腫瘍組織に対する抗BRCA1及び抗BRCA2抗体を用いた免疫組織化学染色にて、タンパク質発現と遺伝子変異形式との関連を確認した。 腫瘍にBRCA1/2変異がある7症例を詳細に解析すると、3症例にBRCA1/2の病的な胚細胞性変異が同定された。これらの症例では胃癌の家族歴や他臓器癌を有することを確認した。また、プラチナ系抗癌剤に対する治療効果が高い症例が確認された。BRCA1/2変異は家族性胃癌の素因となる可能性があり、これを第90回日本胃癌学会総会にて発表した。 また、当科で胃癌に対する胃切除を施行された症例を対象に、抗BRCA1及び抗BRCA2抗体を用いた免疫組織化学染色を施行し、それぞれのタンパク質発現と、年齢、性別、組織型、腫瘍径、TNM、Stage、リンパ管侵襲、静脈侵襲などの臨床病理学的因子、および再発や全生存との関連を統計学的に解析中である。 DNA二本鎖修復機構のうち相同組み換え修復に関わる遺伝子(BRCA1, BRCA2, PALB2, RAD50, FANCD2)の異常と、再発治療の効果との関連を検討した。胃癌症例27例中、6例に遺伝子異常を認め、その6例ではプラチナ系抗癌剤(Cisplatin、Oxaliplatin)の奏効率が有意に高く、生存期間中央値も長かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当科で胃癌に対する胃切除を施行された症例の免疫組織化学と病理学的因子との関連を解析中であるが、免疫組織化学が全症例完了していないため。 DNA二本鎖修復機構に関わる遺伝子(BRCA1, BRCA2, PALB2, RAD50, FANCD2)の異常を胃癌症例27例中で検討したが、今後は全49例について行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年は、遅れている免疫組織化学を完了する。残りの症例についても遺伝子異常を検索する。その後に、タンパク質発現異常の頻度が高い遺伝子を対象として、胃癌細胞株におけるタンパク質発現をwestern blottingにて評価する。タンパク質発現の高い胃癌細胞株を対象に、shRNAを導入したノックダウン細胞株を樹立する。 平成31年は、遺伝子発現を調節した細胞株と未処理の細胞株に対するPARP阻害剤やプラチナ系抗癌剤の細胞増殖抑制効果を、細胞増殖アッセイを用いて評価する。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅延により、予定していた遺伝子検索にかかる費用が余剰となったため。 平成30年度に遺伝子検索、遺伝子改変実験および細胞培養関連実験に使用する。国際学会への参加、研究結果発表に使用する。
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Research Products
(1 results)