2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K10587
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 誠 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50444518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 昌明 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20724280)
中島 清一 大阪大学, 国際医工情報センター, 特任教授(常勤) (30432537)
小田切 数基 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30781794)
百瀬 洸太 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50749752)
田中 晃司 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (70621019)
牧野 知紀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80528620)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食道癌 / 気管再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
大型動物(ブタ)の皮下脂肪を用いて、脂肪由来幹細胞の単離を行い、軟骨細胞への分化誘導を行った。軟骨細胞への分化の誘導は可能であり、器質の産生も確認できたが、増殖能が悪いため、これら培養細胞のみを用いた組織の形成は困難であった。一方で、線維芽細胞への分化は比較的容易かつ分化後の細胞増殖も比較的スムーズの行われており、以後線維芽細胞で実験を進めることとした。 次に、これら培養細胞を立体的に構築していくプロセスに進むこととした。3Dプリンティング技術を用いた方法も最近報告されているものの、気管の形状を、2か月程度の期間で安定的に作成するには、現時点では極めて困難であるため、すべての気管の構造を培養細胞で補うこととはしない方針とした。培養細胞はコラーゲンシートにて3D培養を行い、線維芽細胞による細胞シートを作成することとした。細胞シートを張りつける基軸としては、①自己由来の組織(軟骨、骨など)、②生体適合性の吸収素材(金属、線維など)を考えている。 自家耳介軟骨を用いた気管切除再建については、実際に臨床応用として1例行い、実現性があることを学会で報告し、現在症例報告として論文を執筆中である。自己由来の軟骨や骨を用いた方法は、比較的容易であり、細胞シートを組み合わせることでさらに安全に応用できることが示唆された。 また、生体適合性吸収素材については、Mgを用いた実験を進めている。これまでMgシートの皮下への植え込みにより吸収や周囲組織への炎症の波及などの検討をウサギを用いて行ってきた。Mgは水と反応して、水素ガスが発生するものの、Mgに小孔を開けて、体外に出すことで、炎症の程度を軽減できることが明らかになった。Mgを基軸として用いることにより、切除する気管の形状に合わせた再生気管を作成することができるため、汎用性においては自己組織に比べて高いため、今後もMg素材の開発も進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を始めるにあたっては、自己培養細胞のみでの気管再生を目標としていたが、切除気管の大きさと再建に至るまでの期間を考慮した場合、安定的に再生することができないことが明らかになった。そこで我々は、より簡便に気管の再生を行うこととした。 気管においては、気密性と耐圧性を担保できる組織の再生がカギとなる。気管の一部を再建する場合、組織構築まで同一の気管を再現する必要はないため、上記の条件を満たす複合組織片の作成に取り組むこととした。細胞組織と自家組織片もしくは生体適合性吸収素材を用いた複合組織としての再生気管の作成に現在取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
全て自家培養細胞のみでの気管再生は癌患者の時間的制約もあり困難であることが明らかになった。一方で自己組織や生体適合性吸収素材を利用した複合組織として気管としての機能を果たす立体構造であれば作成可能であると考えられ、複合組織移植片の移植による気管再建の方針として研究を進めることとする。 切除に必要な組織の形状や大きさなどについては、CT検査の画像と3Dプリンター技術を用いて作成していくこととする。
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Causes of Carryover |
当該研究で本年度に行うべき研究事項を来年度にも行うことになったため、助成金を翌年度分にした
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Research Products
(1 results)