2017 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌肝転移・腹膜播種におけるexosomeによる微小環境誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K10636
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 助教 (40611281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貞苅 良彦 九州大学, 大学病院, 助教 (80784503)
永吉 絹子 九州大学, 大学病院, 医員 (90761015)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 肝転移 / 腹膜播種 / exosome / 抗癌剤耐性 / 蛍光分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大腸癌の遠隔転移・腹膜播種形成において微小環境がどのように関与しているのかを検討し、そのメカニズムを解明することを目的としている。 1. 腹水・門脈系exosomeからのDNA KRAS変異の解析、インテグリン蛋白ファミリーの測定 血清サンプルや膵液などの消化液からのexosome抽出を行い、抽出方法の妥当性について検証した。Stage IV症例を含む大腸癌手術症例の切除標本より静脈血を採取し、その血清から超遠心法によりサンプルを分離し、抽出キットを用いてexosomeの抽出を行った。大腸癌由来exosomeの表面マーカーとして報告されているCD9/CD147を測定し、大腸癌症例の静脈血血清内に大腸癌細胞由来のexosomeが含まれていることを明らかにした。また、抽出したexosomeの量的・質的評価も行った。ナノ粒子トラッキング解析(Nanosight)や電子顕微鏡による小胞確認、Western Blotting法によるexosomal markerの確認を行い、本抽出法で得られたexosomeの検体量や質が、条件の悪い膵液サンプルでも今後の今後の研究に耐用可能であることを確認した。 2.転移巣由来線維芽細胞による癌間質相互作用や大腸癌の転移形成促進効率の検討 当研究室では主に膵癌を対象とした癌関連線維芽細胞の初代培養を行っている。その手法を用いて、大腸癌および肝転移巣などから間質細胞の初代培養を開始しており、同手法が応用可能であることを確認した。 3.他方面からの解析 Stage IV大腸癌症例約100例を対象として臨床病理学的背景ならびに臨床経過・予後の解析を進めており、解析すべき予後良好・不良症例の選別や化学療法の有効・無効例の選別を行っている。蛍光X線分析を用いたOxaliplatin抵抗性形成に関する解析では、癌間質相互作用と化学療法抵抗性の関連性が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
exosomeの抽出法やその質的検証法は確立しつつあるものの、対象となるStage IV大腸癌の手術症例が少なく、また、肝転移を始めとした転移巣切除症例も少ないため、サンプルの集積が遅れているため、研究はやや遅れている。 癌関連間質細胞の初代培養方法もほぼ確立しているが、研究に応用可能な線維芽細胞の樹立には至っておらず、遅延の理由の一つとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプル採取を継続し、得られたexosomeからRNAやmicroRNA、蛋白を抽出して臨床病理学的データと照らし合わせ、その臨床的・分子生物学的意義について検討を進める。また、Stage IV大腸癌サンプルに限らず、他の癌腫に関連するサンプルからもexosomeに関連する研究を推進し、本研究に関連する実験手法の確立を目指す。 一方で多方面からの研究も進める。予後良好・不良症例の網羅的遺伝子解析や蛍光X線分析を用いた癌間質相互作用による抗癌剤耐性発現メカニズムの解析を推進し、最終的に大腸癌微小環境に関連する分子生物学的因子の解明を進める。
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Causes of Carryover |
Exosomeの抽出法やその質的検証法を検討していたためサンプルの集積が進んでいないため。 次年度は研究用試薬、器材、検出用キットなどの消耗品に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)