2017 Fiscal Year Research-status Report
体内へ挿入可能なヒューマノイドハンドを用いた次世代型腹腔鏡下手術の提案
Project/Area Number |
17K10656
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
向井 正哉 東海大学, 医学部, 教授 (40229919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 龍 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70516905)
田島 隆行 東海大学, 医学部, 准教授 (80317750)
横井 浩史 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90271634)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ロボット手術 / 用手補助腹腔鏡下手術(HALS) / ロボットハンド / 消化器癌 / 大腸癌 / ロボットHALS |
Outline of Annual Research Achievements |
5指多関節型の人型ロボットハンドを12mm臍部用ポートからも挿入が可能になるようにし, かつ触覚を術者左手にフィードバックするシステムを開発し, それらを用いたHALSの長所を最大限に活かした次世代型の完全腹腔鏡下のロボット手術を目指し, 研究を開始した. まず解決すべき課題はマスタースレーブ型5指多関節型ロボットハンドの開発であった. これまで開発してきた義手用ロボットハンドを12mmポートから腹腔内に挿入するため, 折り畳み傘のようにハンド部分を折り畳む方法や, 腹腔外で分解し腹腔内で自動組立を行う方法など細長化を実現する開発・改良を日々行っている. また従来からの手術同様に愛護的に臓器組織を圧排可能であること, さらにより繊細な動作, 特に組織の愛護的な把持拳上および牽引操作が可能となること, 2本指・3本指から4本指・5本指による手指による鈍的剥離機能(finger fracture)等の動作確認を探求中である. 臨床応用に向けては, 食用鶏胸肉を擬似臓器と見立て, HALS手技に必要なロボットハンド仕様(運動自由度, 力, 重量など)や制御手法(必要可動域や倍力制御)を調査している. またdry box(胸肉)で仮想手術トレーニングも10数回行っている. 手袋5.0サイズの3号機モデルを用い, 300gの食用鶏胸肉の皮を第1指/第2指で摘まみ(pinch), 肉を5cm以上持ち上げる; 肉を全5指で掴んで(grasp), 5cm以上持ち上げ90度以上回転運動を加える等の実験を行った. さらに学内動物実験倫理委員会の承認を得た後,臓器摘出手術を目的とした動物実験(豚)を行った. 現在は2018年度再動物実験に向けロボットハンドの改良・開発と仮想手術トレーニングを繰り返し行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロボットハンドの開発では, これまで開発してきた義手用ロボットハンドを12mmポートから腹腔内に挿入するため, 折り畳み傘のようにハンド部分を折り畳む方法や, 腹腔外で分解し腹腔内で自動組立を行う方法など細長化を実現する開発・改良を行っている. また食用鶏胸肉を擬似臓器と見立て, HALS手技に必要なロボットハンド仕様(運動自由度, 力, 重量など)や制御手法(必要可動域や倍力制御)を調査・実験している. 手袋5.0サイズの3号機モデルを用い, 300gの食用鶏胸肉の皮を第1指/第2指で摘まみ(pinch), 肉を5cm以上持ち上げる; 肉を全5指で掴んで(grasp), 5cm以上持ち上げ90度以上回転運動を加える等の実験を行った. Pinch成功率は90%(18/20), Grasp成功率は80%(16/20)であった. さらに手術室で電気デバイス等を用い, dry box(胸肉)で仮想手術トレーニングを10数回行い, 学内動物実験倫理委員会の承認を得た後, 臨床応用への可能性の検討のため, 豚(Large animal)を用いた実験を行った. 実験では, 日頃使用していたウンドリトラクターS(長径50mm)からXS(30mmアッペ用)に急遽変更し施行したが, この判断が誤りで, ロボットハンド挿入時に第一指が脱臼骨折したため即終了し, ハンズオンセミナーとなった. 現在は手関節の形状を変更しXSの装着が容易となり, 2018年度再動物実験に向けロボットハンドの改良・開発と仮想手術トレーニングを繰り返し行っている. 再動物実験では, 臓器摘出試験(脾臓/直腸等)を通じて, 従来臨床的に行ってきたHALSをベースに, 次世代型腹腔鏡下手術に適した術式を明らかにしていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間内に, 術者の左手の動きに合わせて操作でき, 12mm臍部用ポートからも挿入が可能で, 触覚フィードバックを有する5指多関節型のロボットハンドとそれを操作するインタフェースを開発し, 動物実験を通じて本システムの臨床応用への可能性を明らかにしたいと考えている. マスタースレーブ型5指多関節型ロボットハンドの開発については, 引き続き12mmポートから腹腔内に挿入するため, 折り畳み傘のようにハンド部分を折り畳む方法や, 腹腔外で分解し腹腔内で自動組立を行う方法など細長化を実現するべく改良を重ねていく. また臓器を愛護的に把持, 圧排, 押し広げを行う手指運動が可能な運動自由度をもつことも同時に開発していく. これら一連のHALS操作に加えて本来手関節には無いパワーアシスト機能付加にも発展させたい. さらに筋電義手での触覚フィードバック技術を応用し, ロボット指腹部及び手掌部に, ゴムまたはスポンジの様な柔軟な感圧センサを搭載し, その触圧に応じて操作手の指先に振動, 圧覚, または電気刺激によってその感覚を提示するシステムの開発を行う. そして手指に電気デバイスや送水・吸引機能の付加なども考えている. 動物実験では従来, 臨床的に行ってきたHALS手術とほぼ同様の配置とポート位置で, 改良型ロボットハンドを用いて, 胆嚢摘出術, 脾臓摘出術および大腸切除・吻合術を行い, 急性実験であるため, 手術時間と出血量および手術完遂率を算出し, どの術式が最もロボットHALSに適合するのかを充分に検討していく予定である.
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Causes of Carryover |
実験費・出張費等の概算予定と実費との差額により繰越金が発生したと思われる。次年度についても計画に基づき使用する予定である。
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Research Products
(6 results)