2018 Fiscal Year Research-status Report
膵癌組織内で構築される免疫寛容・転移促進の分子基盤の解明と新規治療法の開発
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17K10693
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
太田 哲生 金沢大学, 医学系, 教授 (40194170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 知治 金沢大学, 附属病院, 助教 (30397210)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵癌 / 細胞老化 / SASP / 血管外血小板 / Podoplanin |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは膵癌組織が豊富な線維性間質を有し、血管外血小板と腫瘍関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast: CAF)を中心としたデスモプラジアな間質が上皮間葉転換、免疫寛容、薬剤抵抗性状態を誘導していることを報告してきた。 この間質の応答に関して、申請者らは新規血小板活性化受容体であるCLEC2とそのリガンドであるpodoplaninを発現する線維芽細胞との細胞間相互作用において、CLEC-2受容体/podoplaninを介したCAFの活性化に注目している。さらに近年では間質の「細胞老化」が癌の増殖や進展を誘導することが示唆されているが、老化細胞が長期間生存し続けると、IL-6などの炎症性サイトカインや細胞外マトリックス分解酵素(MMP)など、炎症や発癌を促進する因子を分泌するSASP(senescent associated secretory phenotype)とよばれる現象が惹起されることが明らかになっており、CAFの活性化と細胞老化に着目して実験を計画した。 2年目である当該年度には膵癌患者の切除標本を用いて術前化学療法別のpodoplanin陽性CAFを検討し、GnP(ゲムシタビン+ナブパクリタキセル)の術前療法が化学療法未施行群に比べて有意にその発現が低率であることを確認した。さらにヒト膵線維芽細胞に対して放射線照射(10Gy)を行い、DNAダメージを加えると老化細胞に特異的なp16およびSenescence associated β-galactosidaseが発現し、SASP因子であるIL-8やMMP-1の発現上昇も認められ、SASPが誘導されていることが確認された。 最終年度となる来年度はSASPが誘導された膵線維芽細胞の上清を膵癌細胞と共培養し、膵癌細胞の浸潤能、移動能、増殖能に対する影響などを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト膵癌切除標本やヒト膵線維芽細胞株を用いて病理組織学的・分子生物学的に検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
SASPが誘導された膵線維芽細胞の上清を膵癌細胞と共培養し、膵癌細胞の浸潤能、移動能、増殖能に対する影響などを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
分子生物学的検討のために購入予定であった試薬の一部の購入を来年度に先送りしたため。Western BlotおよびRT-qPCRを含めた分子生物学的検討を行う。次年度使用額はその際の試薬購入に使用する
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