2018 Fiscal Year Research-status Report
XCR1発現樹状細胞への選択的送達能を有する新規腫瘍細胞ワクチンの開発
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17K10711
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮澤 基樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90549734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
勝田 将裕 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50464673)
北畑 裕司 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00535338)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / 腫瘍細胞ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはケモカイン受容体XCR1を発現する樹状細胞サブセット(XCR1+ DC)が、細胞傷害性T細胞(CTL)応答を強く誘導することを明らかとし、腫瘍抗原をXCR1リガンドであるXCL1に連結させ抗腫瘍効果を増強させることに成功した。一方、腫瘍免疫において、腫瘍細胞のheterogeneityに起因する標的腫瘍抗原の発現低下が課題である。本研究では腫瘍抗原の発現低下による免疫逃避を克服するため、単一の腫瘍抗原ではなく、腫瘍細胞のもつ多様な抗原を標的とするという観点から、腫瘍細胞にXCL1遺伝子を導入し、放射線照射により非増殖性としたXCL1腫瘍細胞ワクチンを新規に開発し、腫瘍細胞が優れたCTL誘導能を有するXCR1+ DCに優先的に送達されることで、多様な腫瘍抗原に対するCTLが誘導され、強力な抗腫瘍効果の発揮することを明らかにする。 XCR1リガンドであるmXCL1とlinkerをコードするcDNA配列をpDisplayベクターへと組み込み増幅したのち、腫瘍細胞株へトランスフェクションを行った。mXCL1が腫瘍細胞株の細胞膜上に発現していることが確認できたので、放射線照射により増殖能を失わせたのち、担癌マウスモデルへワクチンとして投与した。mXCL1発現腫瘍細胞ワクチンでは腫瘍増殖を抑える傾向を認めた。さらにmXCL1を産生・分泌する腫瘍細胞を作成したところ、マウスモデルでは、有意に抗腫瘍効果に差を認めた。今後は遺伝子改変マウスを用いた免疫誘導メカニズムの詳細な検討およびクロムリリースアッセイで、mXCL1産生・分泌腫瘍細胞により誘導された細胞傷害性T細胞(CTL)による細胞傷害活性が抗腫瘍効果を発揮していることを証明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、XCL1発現腫瘍細胞を作成し、抗腫瘍効果を検討した。 さらにXCL1産生・分泌腫瘍細胞を作成し、抗腫瘍効果について有意差を得た。 今後はXCL1産生・分泌腫瘍細胞を用いて、免疫誘導機構の詳細な検討の段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
XCL1産生・分泌腫瘍細胞の免疫誘導機構の詳細な検討については、その検討に有用な遺伝子改変マウスをすでに確立していることから、これを用いて腫瘍局所の免疫環境についてさらに詳細に検討していく。また、in vitroの研究として、クロムリリースアッセイを用いて、誘導されたCTLの細胞傷害活性を直接証明する。
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Causes of Carryover |
PC購入にあたって、想定よりも費用を抑えることができた分、次年度に繰り越すことになったが、研究試薬の購入に使用する予定である。
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