2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of Forecasting Technology for Onset of Aortic Dissection using X-ray Phase-contrast Tomography and Vascular Ultrasonography
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17K10754
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
築部 卓郎 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (50304100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 和憲 九州大学, 医学研究院, 講師 (50217668)
八木 直人 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 特別研究員 (80133940)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 急性大動脈解離 / 大動脈壁構造研究 / 放射光位相差X線CT法 / SPring-8 / 発症機序の解明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、突然死の主因の一つである急性大動脈解離をはじめとする大動脈中膜変性に関連する疾患群の発症メカニズムを解明し、発症を予知する事にある。大型加速器(サイクロトロン)で得られる放射光を利用した位相差X線CT法による非破壊検査にて大動脈疾患の分子構造解析を行い、疾患特異的な血管分子構造異常を解析し、大動脈中膜変性の機序を明らかにすることを平成29年度の期間内の目標とした。 SPring-8の中尺ビームライン実験施設の20B2ビームラインから得られる放射光の先端に、Talbot 型干渉計位相差CT撮影装置を設置し、放射光を利用した位相差画像を検出した。測定機器および条件については、測定大動脈標本はアガロースゲル内に固定あるいは生理食塩水に浸し、180度回転する間に900投影の撮影を行った。各角度で位相板を回転して5枚の異なる位相での撮影を行った。使用する放射光X線エネルギーは25keV 。さらに輪状に切除された大動脈標本を同心円状に3段階に進展させて撮像し、壁の伸長による変化の撮像を行った。測定に用いた大動脈標本は、代表者施設において行われた大動脈手術時に採取された標本を用いている。測定後、標本の病理組織学的解析を行った。具体的には標本を切り出し、連続切片の作成、Elastica van Gieson染色、Masson trichrome染色、Alcian blue染色、並びに免疫染色(Anti-CD31, Anti-αSmooth muscle actin)を行い、病理顕微鏡的観察および3次元立体再構築を行った。さらに位相差X線CT測定データ解析は、画像処理・解析ソフトを用いて壁構造を立体再構成し画像解析を行った。そして、同一検体の組織切片標本によるミクロ病理画像と比較し、分子構造異常と従来の組織との符合性を確認することが可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度はSPring-8の中尺ビームライン実験施設の20B2 ビームラインから得られる放射光を利用した位相差画像を用い、急性大動脈解離術時に得られた上行大動脈標本20検体(いずれもホルマリン固定された標本)の解析を施行した。またあわせて正常コントロールとして剖検時に得られた病変のない上行大動脈(ホルマリン固定標本)の放射光位相差X線CT法による組織解析を行い、急性大動脈解離標本と比較検討した。 平成29年度の計画SPring-8の中尺ビームライン実験施設の20B2 ビームラインから得られる放射光の先端に、Talbot 型干渉計位相差CT撮影装置を設置し、放射光を利用した位相差画像を検出するための条件設定を行い、確定後に大動脈標本のうちホルマリン固定された標本をアガロースゲル内に固定し計測を行う予定であった。その結果、急性大動脈解離術時に得られた上行大動脈標本20検体(いずれもホルマリン固定された標本)の解析を施行いたしました。また、計画では新鮮大動脈標本を輪状に切除して同心円状に3段階に進展させて撮像し、壁の伸長による変化を撮像を行い張力の違いによる大動脈壁の形態変化を検討する予定であった。実際には新鮮な急性大動脈解離の大動脈標本5検体を使用し、生理食塩水に浸した状態で同心円状に3段階に進展させて撮像し、壁の伸長による変化を撮像を行った。そして位相差X線CT測定データ解析は、画像処理・解析ソフトを用いて壁構造を立体再構成し画像解析を行った。つぎに標本を切り出し、連続切片の作成、Elastica van Gieson染色、Masson trichrome染色、Alcian blue染色を行い、病理顕微鏡的観察および3次元立体再構築を行えた。研究成果の一部は国際学会での発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は平成29年度と同一の研究内容の推進し誌上発表を行うこと。 さらに、本研究成果の臨床応用に向けて、高周波(20MHz)超音波による大動脈壁検査法を開発することがあげられる。
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Causes of Carryover |
平成29年度に病理学的検討で用いた組織染色用の試薬が予定より安価であったため。次年度使用額は消耗品の購入及び大動脈標本検体の測定に用いる。
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Research Products
(2 results)