2017 Fiscal Year Research-status Report
肺がんにおけるNEDD8を介したPD-L1発現制御機構の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
17K10791
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐野 由文 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (60322228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 倫久 愛媛大学, 医学系研究科, 助教(特定教員) (20709266)
重松 久之 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (00645111)
岡崎 幹生 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (50467750)
中岡 裕智 愛媛大学, 医学部, 技術員 (30795464)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PD-L1 / 肺癌 / NEDD8 / タンパク質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
NEDD8は細胞内タンパク質代謝に関わるユビキチン様タンパク質であるが、本分子がどのようにPD-L1のタンパク質発現量を制御するかについては不明であった。特に、がん免疫療法におけるその臨床的意義についても不明である。そこで本年度では、(1)NEDD8化活性によるPD-L1発現調節機序の解明と、(2)肺がん臨床検体を用いたNEDD8化活性とPD-L1発現量の相関性の解明について実験を実施した。まず上記の項目を進めるにあたり、NEDD8-PD-L1 pathwayが最も機能する肺がん種を選定するため、様々な肺癌細胞を用いてPD-L1の発現量を解析した。その結果、肺腺癌以外では、特に神経内分泌系の癌においてPD-L1の発現量が比較的高いことがわかった。これらの細胞種を用いて、NEDD8の標的タンパク質を選定・siRNAを設計し、ノックダウン実験により、その下流シグナルの同定を現在進めている。現在、その下流シグナル関連タンパク質とPD-L1発現制御の関連性について生化学的手法を用いて解析を進めている。一方、(2)については、in vitroでのタンパク質再構成実験系が必要であるため、その整備を現在進めているところである。また、最近の知見では、マクロファージ由来の分泌タンパク質が癌細胞中のPD-L1タンパク質の発現量を亢進させることが示されていたため、上記の実験(1)については、マクロファージ由来分泌タンパク質とのシグナル関連性についても併せて検討を進めているところである。これらのデータについては本年度に学会発表を行っている。論文についても現在投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、NEDD8によるPD-L1の発現制御の分子メカニズム解析については、平成29年度に各種細胞やリコンビナントタンパク質の整備を予定していたが、これらは予定通り進んでいる。本メカニズム解明の研究対象となる細胞を選定する実験に時間を要したが、その点以外は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
PD-L1の発現制御活性を担うNEDD8標的タンパク質についてはターゲットを絞り、ノックダウン法により同定を進めていく方針である。しかしながら、その標的タンパク質の同定が困難であれば愛媛大学のプロテンアレイライブラリーを使用して直接相互作用するタンパク質を探索する手法、あるいはマイクロアレイによる遺伝子プロファイルの変化から標的タンパク質を予測する手法、両者により解析を進める予定である。またin vitro NEDD8 アッセイ系については引き続き解析を進める予定としている。また来年度は、肺癌細胞株を移植するゼノグラフトモデルを立ち上げ、NEDD8阻害剤の抗がん効果について評価する準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
実験に用いる癌細胞の選定に時間を要したため、今年度の実験計画のNEDD8標的タンパク質の探索実験を一部来年度に実施することとなったため、差額が生じた。来年度に実施予定であるため問題はない。
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Research Products
(4 results)