2017 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞に対する骨髄幹細胞移植による脳のplasticity亢進による神経機能回復
Project/Area Number |
17K10901
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 淳平 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00572596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20538136) [Withdrawn]
長濱 宏史 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20725676)
中崎 公仁 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70722461)
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 神経可塑性 / 骨髄間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで,ラット脳梗塞モデル(MCAO)へ骨髄間葉系幹細胞を静脈内投与すると,治療効果が得られることを報告してきた.これまでの基礎研究の知見より,MSCによる治療効果のメカニズムは,①サイトカインによる神経栄養作用,②血管新生,③脱髄軸索の再有髄化,④神経再生による脳の可塑性の調節,と多段階的に発揮することによることが判明している. 骨髄間葉系幹細胞移植により運動・感覚機能が回復する過程における脳のplasticityの変化を,動物用MRI(7T)によるfunctional MRI(fMRI)を用いて研究した結果,脳の可塑性が変化することによって,脳梁を介する皮質-皮質間,皮質-線条体間,皮質-視床間,皮質-脊髄間の軸索が構築する神経回路のrewiringの増加が生じた結果,神経機能の回復に寄与した可能性があると考えられ,骨髄間葉系幹細胞移植による脳梗塞の運動機能の回復過程で,脳のplasticityの変化が重要な役割を果たしていることが示唆されたが,詳細な解明はなされていない.本申請では,脳梗塞モデルラットに骨髄間葉系幹細胞を経静脈的に投与した後に生じるこれらの脳の可塑性の変化を,Ex vivo MRI Diffusion Tensor Imagingおよび神経解剖学的および分子病理学的に解明し、新しい治療法の開発の基礎的なデータとすることを目的としている.現在までに,本研究費によってラット脳梗塞モデルを作成し,動物実験用MRI装置(7T)を用いてDiffusion Tensor Imagingを撮像し,神経回路の解析および免疫組織学的手法を用いて,大脳皮質の可塑性の変化を解析している.これらのデータは骨髄幹細胞移植を行った後の機能回復の程度を比較解析する際に重要なコントロールデータとなり得る. 以上のように,補助金は補助条件に従って有効に使用されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット実験的脳梗塞(中大脳動脈閉塞:MCAO)モデルを作成し,動物実験用MRI装置(7T)を用いてDiffusion Tensor Imagingを撮像し,神経回路の解析および免疫組織学的手法を用いて大脳皮質の可塑性の変化を解析している.
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Strategy for Future Research Activity |
ラット実験的脳梗塞(中大脳動脈閉塞:MCAO)モデルを作成し,骨髄間葉系幹細胞を経静脈的に投与した後に,経時的に動物実験用MRI装置(7T)を用いて,通常のT2強調画像や拡散強調画像に加えてDiffusion Tensor Imagingを撮像し,神経回路の解析を行う.さらに,免疫組織学的手法を用いて大脳皮質の可塑性の変化を解析する予定である.
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Causes of Carryover |
昨年度はラットを用いた脳梗塞モデルを作成し,動物実験用MRI装置,免疫組織学的手法などを用いて神経可塑性の変化を解析したが ,予定していたよりも少ない額で研究が遂行できたため,880,969円の余剰が生じた. (使用計画) 次年度使用額については,昨年度に引き続きラットを用いた実験的脳梗塞モデルに対して骨髄幹細胞を移植し,治療効果の検討ならびに神経可塑性の変化の解析を継続するために使用する予定である.
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