2018 Fiscal Year Research-status Report
骨軟部腫瘍切除後欠損に対する脂肪由来幹細胞再生医療の新たなアプローチ
Project/Area Number |
17K10962
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
林 克洋 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (80507054)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪由来幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨軟部腫瘍手術で切除した骨軟部組織欠損に対して、採取が容易で細胞数が多くとれる脂肪由来幹細胞(以下ADSC)を用いて再生医療を行うことを目標とした。in vitroにおいて、ADSCによる凍結自家処理骨再生能を検討し骨芽細胞のSmadシグナルやJNKシグナルが有意に活性化、骨形成を促す液性因子を産生している可能性が確認され、in vivo実験モデルとして,ラットの大腿骨骨幹部を摘出し,摘出骨を液体窒素にて凍結処理し,再移植した.I型コラーゲンジェルに5.0×106個のADSCsを添加したものをしたものをADSCs群とし,ADSCsを添加していないものをコントロール群として,骨再生能の組織学的検討を行った.8週の時点で,骨再生はコントロール群の5例中2例で認められたのに対して,ADSCs群では5例全例に骨再生が認められ,ADSCsの処理骨再生促進作用が示唆された. また、ADSCの骨形成能増強のため、スフェロイドの重層化によるADSC塊および、ADSCから骨芽細胞分化誘導した骨芽細胞塊の作成を行った。2mm大のADSC塊を壊死することなく作成可能であり、骨芽細胞に分化した状態で、ウサギの骨孔への移植、骨再生の実験をすすめた。 ヒト腹部皮下から採取した脂肪を、コラゲナーゼ、遠心にて脂肪由来幹細胞を含むペレットを作成し、変形性膝関節症患者の治療応用を検討した。治療適応、治療効果の判断のため、変化性関節症患者の採血からサイトカイン測定、関節液からヒアルロン酸濃度の測定を行い、治療効果との相関の検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験モデルでも順調に骨再生能が確認され、現在論文作成中である。 幹細胞塊、臨床応用への治療効果予測の研究も進行は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
液体窒素処理の死骨において、ADSCでの骨再生が確認されたことに引き続き、今後、成長期の成長軟骨の再生にも着目して再生医療をすすめていく予定である。ウサギの成長軟骨を外科的に切除し、人工的に骨端線損傷、脚長不等モデルを作成する。治療群にはADSCを骨端線損傷部位に移植することで、成長障害の有無を検討する。 脂肪由来幹細胞のスフェロイド重層化に関しては、作成期間や、強度、コラーゲンの発現などを検討し、更に大型の骨組織の作成を試みる。ウサギの骨孔への移植により人工骨や同種骨などと比較して骨再生能を検討する。 ADSCを始めとした間葉系幹細胞はすでに臨床でも応用されて始めているが、その効果に関しては、予測が難しく、非常に効果のある症例もあればほとんど効果なしなど幅が広い印象である。当研究も臨床応用の際にどのような症例や病態に適応としていくかを検討しておく必要がある。変形性関節症患者の腹部皮下脂肪からの脂肪由来幹細胞採取、関節内への移植は金沢大学共同研究施設で開始しており、これと共同で治療効果、治療効果予測検討をおこなっていく。
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Research Products
(2 results)