2018 Fiscal Year Research-status Report
スクレロスチンによる内軟骨性骨化の制御と骨・軟骨修復への応用
Project/Area Number |
17K11019
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
熊谷 研 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10468176)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 知行 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30170517) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 軟骨分化 / スクレロスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではスクレロスチンがWnt/βカテニンシグナル伝達経路を抑制し、軟骨の最終分化である石灰化を抑制すると仮説を立て、これを検証するために実験を行う。平成30年度は、軟骨分化に対するスクレロスチン抑制の影響を調査した。マウスembryonal carcinoma由来ATDC5細胞を60000個/cm2の細胞数でプレートに播種し、培地にITSサプリメントを添加して軟骨分化を誘導する条件とし、培養は3週目まで5%CO2気相下、37℃で行い、3週目以降は3%CO2気相下、37℃で継続した。Lentivirusを用いATDC5細胞のSOST遺伝子をノックダウンし、軟骨分化に及ぼす影響を調査した。一方、培養3週までスクレロスチン20ng/mlを投与して軟骨初期分化を観察し、3週以降からのみスクレロスチン20ng/mlを投与して軟骨後期分化を観察した。スクレロスチン非投与群を対照とした。SOSTノックダウンにより、軟骨分化マーカーのSox9, Col2a1の発現は抑制され、一方、後期分化マーカーのMMP3, MMP13, Runx2, Col10a1の発現は増加し、石灰化が促進された(各P<0.05 vs 対照群)。また、スクレロスチン投与により、Wnt3a, Wnt5a, LRP5, LRP6, Axin2, β-cateninの発現は抑制された(各P<0.05 vs 対照群)。以上より、スクレロスチンはWnt/β-カテニンシグナル伝達経路を介して軟骨初期分化を促進する一方、軟骨後期分化を抑制することが示唆された。本研究結果から、スクレロスチンは骨形成抑制のみならず軟骨分化にも重要な役割を果たしている可能性が高いと考えられ、今後は軟骨変性や軟骨修復との関連についても調査を行う必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から研究モデルを引き継ぎ、当該年度に予定していた解析をほぼ行うことができ、一つの結論を導くことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までの結果を踏まえ、今年度は軟骨修復とスクレロスチン発現の関連性を調査する。
|
Causes of Carryover |
理由:①本年度予定していた実験の一部が行えなかったため。この分は来年度にあらためて行う。②次年度の実験に使用する消耗品等の費用の見積が当初の予定を上回るため、今年度は購入を見送った。 上記理由により、繰り越し分と年度分として請求した助成金と合わせた額が今年度必要になっている。 使用計画:細胞培養、PCR関連や抗体等の試薬、その他消耗品、学会発表のための旅費に使用する。
|