2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K11044
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
古藤田 眞和 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30530133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 忠彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90293448)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アミオダロン / 脳保護作用 / ナトリウムチャネル阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの局所脳虚血モデルにおいて、アミオダロンの虚血前投与は脳梗塞巣の減少および神経学的機能の改善を示した。しかし虚血傷害後の投与ではこれらの保護作用は認めなかった。また、アミオダロンの虚血前投与による脳保護効果は、電位依存性Naチャネル開口薬の投与により抑制された。このことより、アミオダロンの脳保護作用は少なくとも部分的に電位依存性Naチャネルの阻害を介していることが考えられた。一方でアドレナリンβ受容体拮抗薬の投与はアミオダロンの脳保護作用に影響を与えなかった。及ぼす影響を臨床においてアミオダロンが投与される患者は重症不整脈や心停止を来していることが多く、これらの患者群の神経学的予後は極めて重要である。本研究で示されたアミオダロンの脳保護作用は、不可逆的な脳虚血が生じる前に、アミオダロンが投与されれば、脳障害やそれに引き続く神経学的機能障害を予防できる可能性を示唆している。本研究では心肺蘇生時のアミオダロンの投与量を踏まえて投与量を設定した。虚血前投与により心拍数は有意に低下したが、不整脈は生じず血圧にも変化は認めなかった。一方で倍量投与では脳保護作用が得られないだけでなく、徐脈性不整脈の出現や著明な低血圧などの有害事象が認められた。以上より、心肺蘇生時のアミオダロンの投与量は脳保護効果を得るために至適であると考えられた。 一方で、アミオダロンの薬理作用は多岐に渡り、脳虚血時に障害的に働く可能性のある作用(ナトリウムポンプ阻害作用)も有すため、病態や投与条件に脳虚血を悪化させる可能性もある。今後は全脳虚血モデル・低酸素モデルを用いてアミオダロンの脳保護作用をさらに検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究目的は局所脳虚血モデルを用いてアミオダロンの脳保護作用を検証することであり、概ね予定通りの研究が行えている。しかし、副次的な研究アウトカムとして評価を予定していた炎症性細胞の浸潤や活性化に関してはまだ行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
全脳虚血・低酸素モデルを用いてアミオダロンの脳保護作用の検証を行う。虚血前投与により脳梗塞体積の縮小および神経学的機能の改善が認められた。しかしアミオダロンの持つNa+-K+-ATPase阻害作用は、細胞内エネルギーの保存に役立つ一方で、虚血の程度が強い場合や広範囲に及ぶ場合など、高度なエネルギー飢餓状態ではNa貯留に伴う浮腫や細胞死を助長する可能性がある。アミオダロンは複雑な薬理作用を有すため、虚血脳への潜在的な作用についても多面的な検証が必要である。全脳虚血・低酸素モデルを用いた研究では、脳梗塞体積・残存神経細胞数に加え、脳浮腫の程度や組織中のNa量も定量化し評価する。研究は週1回行う予定であるが、計画通りに進まない場合は週2回行うなどして計画通りに進むよう対応する。各脳虚血モデルにおいてマウスの死亡率が高い場合は、麻酔深度や脳虚血時間の調節およびアミオダロンの投与用量を変更することで対応する。
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Causes of Carryover |
組織学的な解析を次年度に繰り越したため必要な物品の購入費がかからなかった。また、国際学会での発表を次年度に繰り越したため予定していた旅費がかからなかった。これらの助成金は次年度に使用する予定である。また、次年度は当初の計画通り研究を行う予定であり、適宜学会発表および論文投稿を行う。
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Research Products
(1 results)