2018 Fiscal Year Research-status Report
腎癌と膀胱癌における免疫抑制型好中球と抗腫瘍型好中球の分類法確立
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17K11122
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
武田 裕司 山形大学, 医学部, 准教授 (90302299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良 英利 石巻専修大学, 理工学部, 准教授 (00375338)
黒田 悠太 山形大学, 医学部, 助教 (00594326)
加藤 智幸 山形大学, 医学部, 准教授 (40396560)
土谷 順彦 山形大学, 医学部, 教授 (70282176)
浅尾 裕信 山形大学, 医学部, 教授 (80250744)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膀胱がん / 炎症 / 好中球 / 抗腫瘍活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に、BCG治療患者の尿中の白血球のフローサイトメトリーによる測定法を確立した。本年度は、測定する症例数を増やし、統計的解析をすることを目的にした。今年度は、9症例の測定・解析が終了した。また、代表的な1症例を用いて、マイクロアレイによるmRNAの網羅的解析を行った。 その結果、BCG治療回数に伴い、尿中の好中球数が有意に上昇していた。そして、好中球数増加に先立ち、好中球分化成熟抗原(GPI-80)の分散性が早期に減少することが見出された。一方、T細胞・単球についても解析したが、治療を経ても尿中にT細胞の増加は無く、ほとんど検出できなかった。そして、炎症性マクロファージの比率も増加が認められなかった。好中球における機能的細胞表面抗原の変化について、LAP-1(TGF-β前駆体)の発現量の減少が見いだされる症例があったが、症例数を増やして解析したところ、有意な減少は認められなかった。また、マウスにおいて、非定型好中球の指標としてCD193の好中球発現を見出したことから、これを合わせて解析した。しかし、尿中の好中球では、CD193の発現変動は認められなかった。 そこで、尿中の細胞解析と共に、BCG治療中の末梢血も合わせて解析した。その結果、以前に報告した進行性腎癌患者の末梢血とは異なり、GPI-80の分散性上昇とLAP-1の上昇が認められず、がん性の慢性炎症とBCG治療による間欠的炎症の違いを明らかに出来ると考えられた。すなわち、がん性炎症では、好中球増加に伴ってGPI-80の分散性が上昇するが、BCG治療による抗腫瘍活性をになっている好中球はGPI-80の分散性が低下する傾向があることが判明した。 網羅的解析結果では、TLR刺激に対する反応が有意に生じていることが示唆された。現在更なる解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に適した測定に至る症例数が増えていない。また、フローサイトメトリーの故障により、継続的測定の中断を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数を増やすため、共同研究者と連絡をより、密にする。 また、フローサイトメトリーを用いた治療経過における継続的測定には、代替え機器では困難であった。使用している機器が、専用ではなく共有機器のため、今後、機器の運用と維持にも尽力する。 症例数を増やし、mRNAの網羅的解析の症例数を増やすことで、統計的解析を行い、抗腫瘍活性に関わる好中球の変動を明らかにする予定である。 また、変化の認められたGPI-80について、解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定した症例数に達しなかったことによる消耗品など購入費が抑えられたため。 使用計画:今年度の消耗品購入に用いる。
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Remarks |
山形大学医学部免疫学講座 ホームページ内に付随
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Research Products
(4 results)