2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K11411
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石井 崇平 日本大学, 医学部, 専修医 (80648056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
松崎 洋海 日本大学, 医学部, 准教授 (00451328)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 反回神経 / 脱文化脂肪細胞 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、反回神経切断ラットにおいて脱分化脂肪細胞(DFAT)を充填したチューブを移植することで、その神経再生治療効果を検討するものである。ラットの反回神経は非常に細いため、それを架橋するチューブも内径0.5mm程度のものとなる。そのため、内部に含有できる細胞数をより多くするためには、チューブの長さは反回神経が再生可能な範囲内で最長のものが良いと考えた。そこで、予備実験として次の実験を行った。 ラットの左反回神経を切断し、神経断端をI型コラーゲンゲルで充填した径0.5mmシリコンチューブを用いて架橋し、断端間の距離は、1、3、5mmとなる3群を作成した(各群n=11)。評価項目として、内視鏡による喉頭運動の観察(術直後、5週、10週、15週)、組織学的評価(トルイジンブルー染色による光学顕微鏡、電子顕微鏡)等を行った。その結果、喉頭運動の観察では1mm群では9/11(81.8%)、3mm群では6/11(54.5%)、5mm群では3/11(27.3%)で、観察期間中に喉頭運動が認められた。ただし、15週の観察期間終了時において喉頭運動の回復が確認できたものは各群とも1/11(9.1%)のみであり、その大部分が観察期間中に運動が消失した。組織学的評価では、各群とも有髄神経の再生が認められたが、その数や太さは1mm群>3mm群>5mm群の傾向があった。 以上の結果より、ラットの反回神経において5mmまでの欠損距離の再生が可能であることが確認された。 現在、DFATを用いることで神経再生がより促進されるか検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、反回神経切断ラットにおいて脱分化脂肪細胞(DFAT)を充填したチューブを移植することで、その神経再生治療効果を検討するものである。 昨年度までに反回神経切断モデル動物の作出及び、1型コラーゲン充填シリコンチューブを用いた反回神経の再生を行なっている。また、評価項目として、喉頭運動の確認、誘発筋電図検査、組織学的評価を行う予定であるが、これらの評価法についても技術は習得できている。すでにDFAT細胞を用いた実験も行なっており、現時点での研究計画は概ね順調に進展している。ただし、DFAT細胞を用いた実験は、至適な細胞濃度の確立が必要とされるため、今後も頭数を増やした実験が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1型コラーゲン充填シリコンチューブを用いた実験において、ラットの反回神経は5mmまでの欠損距離の再生が可能であることが確認された。そこで、6mm長のシリコンチューブ内にDFAT含有コラーゲンを注入し、これを用いてラット反回神経の再生実験を行なったが、コラーゲン単独と比較して優位な改善は認められなかった。原因としてチューブ素材の限界や、細胞濃度の問題が考えられた。 今後様々な細胞濃度やチューブ素材を変更した実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、昨年度までに購入した物品を使用して実験を行なっている。そのため、試薬などの消耗品の使用資金が少なくなった。次年度以降は頭数を増やし実験する予定となっており、実験動物、試薬などの消耗品や、学会発表、論文作成資金に充てる予定であり、大幅な繰越金はないと考える。
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