2017 Fiscal Year Research-status Report
バイオナノシートを活用した新しい眼科治療用デバイスの開発
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17K11478
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柏木 賢治 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30194723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武岡 真司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222094)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / バイオナノシート / 緑内障 |
Outline of Annual Research Achievements |
超菲薄膜であり生体適合性の高いバイオナノシートの眼科領域への応用を以下の点を主に行った。1.濾過手術後の組織癒着を阻害する目的でマイトマイシンC(MMC)を含有したバイオナノシートの濾過手術後の投与経路として、強膜上への設置を行い、ウサギ眼を用いたin vivo実験を行い濾過量の維持効果への影響について検討を進めた。さらに、投与部位としてごく微量のMMCを含有したバイオナノシートの前房内投与によるモデルも作成し、有用性、安全性を確認した。2.接着剤不要の組織閉鎖剤としてのバイオナノシートの有用性を確認するため、離開結膜への被覆を行い組織修復への効果を検討した。3.血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体は虚血後に発症する網膜新生血管の増殖や加齢黄斑変性症などの血管新生の抑制や黄斑部浮腫に対する臨床上の効果を有するが硝子体手術により無硝子体となった場合には、早期に眼外に排出されるため有効性が低いことが知られている。長期的に抗VEGFの放出を行い血管新生を抑制させることを目的にを抗VEGF抗体を含有したバイオナノシートを作成し、無硝子体眼の眼内に注入し血管新生、網膜浮腫の抑制を検討した。4.細胞移植シートとしてのバイオナノシートの可能性の探求。人工的細胞基底膜の開発は再生医療にとって非常に有用である。現有の人工基底膜にはまだ課題が多い。バイオナノシートを活用して従来よりより細胞接着性、生体適合性が高く、また細胞増殖因子など生着を促進する因子を含有した人工基底膜としての可能性を探求した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各実験用のバイオナノシートを作成し、実験を進めている。十分に目標通りの貼付性が確保されていない点、放出調整量について目標通りに作成がされていない点が現状の課題であるが、ほぼ全体としては目標に沿った研究成果が得られていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目標に沿って、実験を継続し、現在の課題を克服していくことを基本とする。最大の目標はすぐれたドラッグデリバリーシステムの開発であるが、その研究推進課程で生体移植材料の基盤素材の可能性など研究開始時とは異なる新たな活用性が見出されている。これらの可能性についても同時に探求していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していたin vivo実験においては、必要動物の確保と薬剤の購入が年度内に完了できなかった。このため、動物購入費用、実験用バイオナノシートの作成費用ならびに薬剤の購入費用についても次年度へ予算を移行することとなった。
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