2018 Fiscal Year Research-status Report
再生医療を用いた重症頭部外傷治療戦略の確立と効率化
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17K11595
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
金谷 貴大 日本医科大学, 医学部, 助教 (00787591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 智 日本医科大学, 医学部, 講師 (00366733)
山口 昌紘 日本医科大学, 医学部, 助教 (10787592)
菅野 晴夫 東北大学, 大学病院, 助教 (40646808)
田中 佐智子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50453824)
五十嵐 豊 日本医科大学, 医学部, 助教 (50771101)
横堀 将司 日本医科大学, 医学部, 准教授 (70449271)
山田 真吏奈 日本医科大学, 医学部, 講師 (70508621)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医療 / 頭部外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症頭部外傷に対する治療に関しては現在のところ一次損傷に対する対処法はなく、二次損傷を最小限に抑えることが命題となっており、現在一般に可能な治療も二次損傷を以下に最小限に抑えるかが主眼となっている。現在一次損傷の時点で既に失われた機能を取り戻すことは不可能であり、その影響は永続するのが現状である。頭部外傷では意識障害、高次機能障害が遷延することで患者本人のQOLが著しく低下し社会的かつ経済的に多大な影響を受けることになる。 この状況は社会保障、医療費の観点からも看過できるものではなく、一次損傷に対する治療を確立することは医療経済の面からも必至の命題であると考えられる。そこで我々は頭部外傷に再生医療の手法を用いることで従来不可能であった一次損傷によって失われた機能を取り戻すことを目標として現在その方法を確立すべく研究を進めている。 具体的には動物を用いて頭部外傷で想定される複数の頭部外傷モデル(急性硬膜下血腫モデル、脳挫傷モデル、爆傷損傷モデル、弾丸損傷モデル)を作成し、それに対して神経幹細胞を移植、細胞の生着させ最終的には一次損傷で失った機能を回復させることを将来的な最終的な目標としている。 本研究ではその足ががりとなる頭部外傷モデルの構築と動物実験レベルでの再生医療の有効性を評価することを主眼としており、現在再現可能な頭部外傷の動物モデルの構築と移植神経細胞が生着、増生するためにはどのような手法や環境が適当かを評価すべく研究を進めている。 また各種バイオマーカーも測定し頭部外傷におけるダメージを定量的に測定することも行っていく方針である。 本年度が最終年度に当たることを踏まえ、これまでの研究を総括していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、当初の予定通り進捗していると判断している。 現在昨年度取り組んだ急性硬膜下血腫モデルを用いた実験をさらに推し進めるとともに、新たな外傷モデルとして脳挫傷モデル、爆傷損傷モデル、弾丸損傷モデルも漸次作成する予定であり、これは当初予定した計画とほぼ同じ進捗状況である。 2018年度には脳蘇生の観点から各種のバイオマーカーの内どれが予後予測の指標として適当か、またカットオフ値としての数値はどの程度かを検討することを題材として国際学会で我々の成果を発信した。 今後爆傷モデル、弾丸モデルに関しても他施設の協力を仰ぎながら進めており、今後結果を集約していく方針である。 また神経幹細胞の移植に関しても効率の良い移植方法を模索しており、現行の研究を進めることで一定の方向性は出るものと期待している。移植においては目的とする部位に目的とする細胞が正しく再生されることが必須である。本来の目的とは異なる部位に異なる細胞が生着しても期待される機能の回復は得られないため精密さも求められ、それに見合ったデバイスも必要になる。今後は移植の精度を向上させることに関しても取り組んで行く方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
急性硬膜下血腫モデルに加え、脳挫傷モデル、爆傷モデル、弾丸モデルに対しても神経幹細胞の移植( GFP導入非 iPS 由来ヒト NSCまたは GFP導入ヒト iPS 細胞由来神経細胞を 傍損傷部位海馬及び運動野に移植)を行う。移植前後で神経細胞のバイオマーカーである血清 UCH-L1 およびグリオーシスのバイオマーカーである GFAP を測定し、移植前段階での脳内環境を評価する。 また行動実験として既に取り組んでいる遊泳実験(外傷作成前、外傷モデル作成後 1週間、移植後 4-8週間の時点での遊泳時間、遊泳距離の評価)から、実際の行動に移植した細胞がどの程度寄与しているかを定量的に評価することで学習、記憶の機能回復の指標とし最終的には移植によりどの程度一次的脳損傷を回復し得たかを評価する。
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Causes of Carryover |
一部物品が当初予定した金額よりも低価格で購入できたため
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Research Products
(1 results)