2017 Fiscal Year Research-status Report
MZF1誘導性の新規がん幹細胞ストレス耐性に関する検証
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17K11642
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江口 傑徳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20457229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十川 千春 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10253022)
奥舎 有加 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50762027)
岡元 邦彰 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10311846)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / オルガノイド / エクソソーム / 細胞外小胞 / 細胞外HSP / 三次元培養 / スフェロイド / ナノ環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規がん幹細胞ストレス耐性: 癌の転移や再発の原因と目されるがん幹細胞は,三次元環境下でスフェロイド(球状細胞塊)を形成する.今回試行した67種類の癌細胞株の殆どがスフェロイドを形成したのに対し,8種類は葡萄様細胞塊(GLA)を形成し,そのうち7種類は腺癌由来であった.このGLA形態は癌細胞の新規形態学的特性と考えられた.GLA形成性細胞株PC-3は去勢抵抗性前立腺癌と神経内分泌前立腺癌の特徴を併せ持つ.PC-3細胞は他の癌種と比べてin vivo腫瘍形成能およびリンパ節転移性に優っていた.幹細胞専用培地および三次元培養環境によって,PC-3細胞のGLA形成促進,細胞塊融合によるオルガノイド形成促進,増殖抑制,幹細胞マーカー(CD44v8-10)発現促進,上皮性マーカー(Eカドヘリン,EpCAM,ESRP1/2)発現促進,がん遺伝子発現促進を認めた.他方,二次元培養環境および血清刺激はこれらを抑制した.上記の幹細胞性誘導環境は,がん幹細胞マーカーEpCAM発現を誘導し,EMT誘導転写因子ZEB1の発現を抑制した.二次元培養下PC-3と比べ,PC-3オルガノイドは,タンパク質貯蔵が豊富で,盛んにEpCAM含有エクソソームを分泌し,顕著にストレス応答タンパク質HSP90αを分泌した.治療抵抗性がんは,以上のがん幹細胞特性より,ストレス耐性および治療抵抗性を発揮すると考えられた. Takanori Eguchi, Chiharu Sogawa, Yuka Okusha, Kenta Uchibe et al "Organoids with cancer stem cell-like properties secrete exosomes and HSP90 in a 3D nanoenvironment." PLoS One. 2018 Feb 7;13(2):e0191109.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.産学連携により67種類に及ぶ細胞株の三次元培養データベースを公表でき,今後の癌研究に役立つと期待できる.2.細胞株によって異なる転移性を見いだし,今後の動物実験に応用できる.3.細胞塊の形態学的分類ができ,新規がん幹細胞性特性であるGLAを発見できたので,今後の研究に期待できる.4.細胞塊の大きさ,数量および低酸素レベルのハイスループット定量実験系を確立でき,今後の応用に期待できる.5.物理的ナノ環境および液性環境の両面で幹細胞特性を促進すると,細胞増殖が著しく遅くなり,一部で細胞死も観察され,今後さらに,がん幹細胞特性を知る上での重要な手掛かりが得られた.6.がん幹細胞マーカーとしてCD44ヴァリアント,上皮性スプライシング因子ESRP1/2,CD133,EpCAM,MUC1,Notchリガンド等を見い出し,癌種によって発現する癌幹細胞マーカーが異なることも分かりつつある.7.がん幹細胞特性と上皮間葉転換(EMT)特性は重なると言われてきたが,これらは一致しないことがあり,寧ろ相反する部分があることが明らかになった.8.三次元培養環境および幹細胞専用培地のいずれもがん幹細胞特性を高めることが分かった.9.三次元培養するだけで,細胞塊へのタンパク質貯留,エクソソーム分泌促進,細胞外HSP90分泌促進が起こるとの新発見があった. 10. 以上の発見を学術誌に発表できた.
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Strategy for Future Research Activity |
1.MZF1およびその関連因子ネットワークが,癌幹細胞特性とどのような関係にあるのかを知るために,機能欠失実験および分子局在解析により,これらを明らかにする. 2.これまでに見出した癌幹細胞性オルガノイド特性がストレス耐性,治療抵抗性,転移とどのように関わるのかを様々な癌種モデルや臨床検体を用いて明らかにする.
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Organoids with Cancer Stem Cell-like Properties Secrete Exosomes and HSP90 in a 3D NanoEnvironment2018
Author(s)
Eguchi Takanori, Sogawa C, Okusha Y, Uchibe K, Iinuma R, Ono K, Nakano K, Murakami J, Itoh M, Arai K, Fujiwara T, Namba Y, Murata Y, Ohyama K, Shimomura M, Okamura H, Takigawa M, Nakatsura T, Kozaki KI, Okamoto K, Calderwood SK.
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 13
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Semaphorin 4D promotes bone invasion in head and neck squamous cell carcinoma.2017
Author(s)
Takada H, Ibaragi S, Eguchi T, Okui T, Obata K, Masui M, Morisawa A, Takabatake K, Kawai H, Yoshioka N, Hassan NMM, Shimo T, Hu GF, Nagatsuka H, Sasaki A.
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Journal Title
International Journal of Oncology
Volume: 51
Pages: 625-32
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] 舌癌細胞株由来エクソソーム解析による頚部リンパ節転移マーカーの探索2017
Author(s)
Kisho Ono, Takanori Eguchi, Chiharu Sogawa, Jun Murakami, Toshifumi Fujiwara, Tomonari Kasai, Masaharu Seno, Jun-ichi Asaumi, Akira Sasaki, Ken-ichi Kozaki
Organizer
日本癌学会学術集会2017
Int'l Joint Research
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