2018 Fiscal Year Research-status Report
MZF1誘導性の新規がん幹細胞ストレス耐性に関する検証
Project/Area Number |
17K11642
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江口 傑徳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20457229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十川 千春 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10253022)
奥舎 有加 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50762027)
岡元 邦彰 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10311846)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がんの抵抗性 / エクソソーム / 細胞外小胞 / 細胞外HSP90 / がん幹細胞 / CDC37 / SCAND1 / MZF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの治療抵抗性には,がん細胞の幹細胞様性質(CICまたはCSC)およびエクソソーム等の細胞外小胞による細胞間情報伝達が関与する.分子レベルでは,分泌型HSP90およびHSP90のコシャペロンCDC37が悪性腫瘍特有の様々なリン酸化シグナルを促進し,多様な癌種においてその抵抗性に寄与している.平成30年度は,CDC37/HSP90制御系および細胞外小胞について研究を進め「去勢抵抗性前立腺がんの腫瘍オルガノイドモデルにおける幹細胞特性およびHSP90/EpCAM分泌特性」(2018 Plos one)および「リンパ節転移性口腔扁平上皮癌エクソソーム・プロテオーム解析から分かったHSP90分泌特性と患者予後との相関」(Ono K et al 2018 J Cell Biochem)について発表し,がんの抵抗性に寄与する分泌特性”RASP: Resistance-Associated Secretory Phenotype”を提唱した(第13回日本臨床ストレス応答学会シンポジウム他). CDC37プロモータ領域には多数のMZF1結合配列が存在し,MZF1がCDC37遺伝子を活性化することをChIPおよびレポーターアッセイで証明した.MZF1はヒトでは50種類以上のメンバーから成るSCANジンクフィンガー型転写因子の一員であるが,ジンクフィンガーを欠くSCANタンパク質が50種類中5種類だけ知られる.そのうちSCAND1に着目して発現・機能解析したところ,SCAND1は正常前立腺組織においては発現するものの癌進展に伴い発現消失した.MZF1とは逆にSCAND1はCDC37遺伝子を抑制し,マウス腫瘍移植モデルにおいて腫瘍抑制的であったことから,新規腫瘍抑制因子と考えられた(Eguchi T et al 2019 BioRxiv, Preprints).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
口腔扁平上皮癌由来細胞外小胞のプロテオーム解析により,ストレス耐性因子そのものであるHSP90αとHSP90βが発見され,これらの遺伝子発現と患者予後不良との間に顕著な正の相関があるとの知見(Ono K et al 2018 J Cell Biochem)は,各方面で評価された(第12回臨床ストレス応答学会若手研究奨励賞.第60回日本歯科基礎医学会モリタ研究奨励賞.第63回日本口腔外科学会優秀ポスター賞. 第77回日本癌学会インターナショナルセッション口演.いずれも小野喜章が筆頭演者).また,口腔扁平上皮癌由来EGFR陽性エクソソームによって正常口腔上皮細胞に上皮間葉転換が惹起されるとの新規発癌機構(Fujiwara T et al 2018 Oral Oncol)や,口腔癌エクソソームによる抗EGFR抗体医薬セツキシマブ排出という新規の分子標的薬耐性機構(Fujiwara T et al 2018 BBRC)も,各方面で評価された(平成30.10.28日本経済新聞掲載,第5回日本細胞外小胞学会口演,第72回日本口腔科学会優秀ポスター賞(藤原敏史)).さらに,平成30年度は,腫瘍オルガノイドの研究開発が進み,幹細胞性,分泌特性,腫瘍形成能等の多元解析が進歩している(Namba Y et al 2018 Front Oncol; Sogawa C et al 2019 Tissue Engineering; Eguchi T et al 2018 Plos one).これらを包括して,第13回臨床ストレス応答学会シンポジウムや神戸再生医療勉強会「オルガノイド研究で繋ぐ未来の医療」講演会において成果発表する機会が得られた他,Brainstorming 2018において最優秀発表賞の栄誉に浴したことを総合すると,当初の計画以上に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,研究を推進するための方策として,① トランスオミックス,② 腫瘍関連マクロファージ(TAM),③ 腫瘍オルガノイドのさらなる応用の3点を挙げたい.①については,これまに確立したエクソソームのプロテオーム解析実験系とChIP-seq法およびマイクロアレイ法とを組み合わせ,がんの抵抗性の鍵を握ると目されるMZF1およびSCAND1により転写制御される遺伝子がタンパク質レベルおよびRNAレベルでエクソソームに含まれて小胞分泌されることで,がんの抵抗性に関わるかを検証する.すなわちMZF1による転写制御が分泌小胞特性・機能に及ぼす影響を検証する.②については,腫瘍に浸潤してその悪性化を促進するとされているTAMについて,患者由来腫瘍組織を調査してその実態を確認し,TAMが分泌する小胞の特性・機能を解析する.③については,マクロファージを含む腫瘍オルガノイドを開発し,マクロファージ-癌細胞間コミュニケーション制御による病態改善法を開発する.
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Causes of Carryover |
次年度は論文投稿を控えているため、論文投稿料、印刷代を考慮している。
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] Organoids with cancer stem cell-like properties secrete exosomes and HSP90 in a 3D nanoenvironment2018
Author(s)
Eguchi Takanori, Sogawa Chiharu, Okusha Yuka, Uchibe Kenta, Iinuma Ryosuke, Ono Kisho, Nakano Keisuke, Murakami Jun, Itoh Manabu, Arai Kazuya, Fujiwara Toshifumi, Namba Yuri, Murata Yoshiki, Ohyama K, Shimomura M, Okamura H, Takigawa M, Nakatsura T, Kozaki K, Okamoto K, Calderwood SK
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 13
Pages: e0191109
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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