2018 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼時の副交感性脳血流増加による大脳皮質機能維持と脳虚血疾患の病態改善機構の解明
Project/Area Number |
17K11650
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
石井 久淑 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (00275489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 寿哉 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (30709241)
新岡 丈治 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10382491)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 咀嚼 / 三叉神経 / 副交感性脳血流増加 / 脳虚血障害 / 加齢 / 脳賦活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、咀嚼時の脳賦活-副交感性血流増加と脳機能維持或いは脳虚血疾患の病態との関連性を明確化することを目指しており、今回(平成30年度)は三叉神経(舌神経)の感覚入力による副交感性血流増加の機能修飾機構について検討した。その結果、麻酔下のラットにおいて舌神経の求心性刺激で生じる副交感性血流増加は、加齢に伴い顕著に抑制されることが明らかになった。また、この抑制作用にはムスカリン性アセチルコリン受容体(特にM3サブタイプ)の発現量の低下によるコリン作動性血管拡張の抑制と血圧上昇に起因する局所性の血管収縮の亢進が関与することが示唆された。これらは、高齢時の咀嚼運動に伴う口腔や顔面・頭部で生じる血流動態の良否には、加齢に伴うアセチルコリン受容体の分子基盤の変調に起因する副交感性血流増加の機能修飾機構が密接に関連していることを示唆している。脳の血流動態は脳梗塞時のニューロンの損傷やアルツハイマーの発症機序に密接に関与する虚血性脳萎縮との関連性が近年報告されており、高齢時の脳機能保全や機能回復の新たな治療のターゲットとしての可能性が注目されている。また、他の口腔・顔面領域の機能障害(唾液分泌や味覚障害等)においても、同領域における血流動態の関連性が示唆されている。したがって、本研究は副交感性血流増加の加齢変化等に基づく機能修飾機構について分子基盤を網羅した総合的かつ先進的な研究として重要であり、それらの病態との関連性を含めた今後のトランスレーショナルリサーチへの展開が、口腔・顔面・頭部領域(特に脳)の血流・機能障害の新たな予防と治療法の可能性を導くことができるのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の交付申請書の研究目的と研究計画に記載した三叉神経の感覚入力による副交感性血流増加の機能修飾機構に関する実験は効率的に進行しており、それらに関連する研究成果は国内及び国際学会発表ですでに公表している。したがって、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在はコリン作動性副交感性血流増加を中心とした検討を行っているが、口腔・顔面・頭部領域の血流動態には、非コリン作動性血管拡張も関与することが知られている。非コリン作動性のメカニズムについては未だ不明な点が多く残されているが、本研究結果並びに関連領域の一連の報告から、血管作動性腸ペプチド(VIP)がこれらの血管拡張に重要な役割を果たしていることが推測される。したがって、今後は副交感性血流増加の加齢変化等に基づく機能修飾機構について、非コリン作動性血管拡張を含めた分子基盤を網羅した神経伝達機構或いは神経間相互作用に関する詳細な検討を重ねていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
主に物品費の予算額と実支出額との差額により次年度使用額が生じた。
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Research Products
(6 results)