2017 Fiscal Year Research-status Report
インフラマソームを介した唾液腺炎の発現機序ならびにその制御方法の検討
Project/Area Number |
17K11662
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
室井 梓 (酒井梓) 東北大学, 歯学研究科, 助教 (90463778)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10125560)
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10241639)
黒石 智誠 東北大学, 歯学研究科, 講師 (30400261)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | インフラマソーム / IL-18 / 唾液腺炎 / 細胞外ATP / 危険シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺組織におけるIL-18ならびにインフラマソーム構成因子の発現 研究材料である下唇小唾液腺の採取に時間を要したため、ヒト唾液腺組織を用いた検討は解析途中である。 口腔上皮細胞の危険シグナル刺激応答 ATPやADPなどのプリンヌクレオチドはP2受容体のリガンドとして機能し、様々な細胞を活性化する。P2受容体はイオンチャネル型のP2X受容体とGタンパク質共役型受容体であるP2Y受容体に大別される。この内、P2X7受容体は高濃度の細胞外ATPにより活性化され、細胞内カリウムイオン濃度の低下と、引き続くインフラマソームの活性化を誘導する。 これまでの研究から、口腔上皮細胞もIL-18を恒常的に発現し、細胞内にIL-18前駆体を蓄積していることが明らかとなっている。このため、口腔上皮細胞においても、細胞外ATPなどの危険シグナルによりインフラマソームが活性化され、成熟型(活性型)IL-18の分泌が誘導されると推察された。そこで、ヒト口腔上皮細胞株であるHSC-2細胞のプリンヌクレオチド刺激応答性を検討した。その結果、ATP刺激HSC-2細胞におけるカスパーゼ1の活性化や成熟型IL-18の分泌誘導は認められなかった。しかしながら、ATPおよびADP刺激により、主要な炎症性サイトカインであるIL-6の産生が誘導された。また、ATPおよびADP刺激によりHSC-2細胞によるIL-8産生も誘導された。一方、P2Y2-6の特異的アゴニストであるUTPおよびUDP刺激ではIL-6産生は誘導されなかった。このATP/ADP刺激によるIL-6産生誘導は、P2受容体アンタゴニストであるPPADSおよびsuraminで阻害されたことから、いずれかのP2受容体を介することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「唾液腺組織におけるIL-18およびインフラマソーム構成因子の発現検討」は解析途中であるが、当初計画していなかった「ATP-P2受容体を介した口腔上皮細胞の炎症応答」に関して想定以上の結果が得られたことから、おおむね順調に進展しているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展していることから、今年度同様、研究組織内で緊密に連携し研究を推進していく。特に、唾液腺組織における検討を進めるため、ヒト組織に加えマウス組織を用いた解析も行う予定でいる。また、分野配属大学院生を研究組織に加える等し、研究組織の強化も図る。
|
Causes of Carryover |
理由:唾液腺組織を用いた検討が解析途中であり、予定していた試薬類に係る費用が未使用であったため。 使用計画:上述の様に、ヒトおよびマウス唾液腺組織を用いた検討を重点的に行うため、必要となる試薬類の購入に使用する。
|
Research Products
(1 results)