2019 Fiscal Year Research-status Report
光硬化型スキャホールドを用いた新しい細胞治療技術の開発と歯科再生医療への展開
Project/Area Number |
17K11731
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
中村 真理子 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (90284067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 嘉浩 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (40192497)
阿部 薫明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40374566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 可視光硬化型ゼラチン / リボフラビン / PEGDA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は直接覆髄・断髄、さらには歯髄再生、根尖性歯周炎や歯周病により破壊・吸収された骨や歯周組織の再生に有効な光硬化型スキャホールドを開発することを目的をしている。スキャホールドには材料の安定性が求められているが、その一方で創傷治癒まで速やかに消失する必要があるという相反する特性を実現する必要がある。本年度は可視光硬化ゼラチンが上記機能を有しているかどうかの確認を行った。 1.可視光硬化ゼラチンにpoly(ethylene glycol)diacrylate (PEGDA)を添加し光増感剤としてローズベンガル、リボフラビンを加えて可視光にて硬化させた硬化物、ならびにPEGDAを加えずに硬化させた硬化物を寒天培地に加え口腔内細菌を播種し24時間後、ならびに48時間後の観察を行った。その結果ローズベンガルよりもリボフラビンのほうが硬化物上に多数のコロニーが認められ、ローズベンガルよりも毒性が少ないことが明らかとなった。またPEGDAを加えた群と加えなかった群ではローズベンガルでは加えなかった群のほうが多数のコロニーが認められ毒性が少ないことが明らかとなった。 2.上記結果よりリボフラビンではPEGDAを加えても毒性が少ないことが確認されたためリボフラビンにPEGDAを添加し硬化した硬化体の物性を確認したところPEGDAの添加量が増すほど硬度が増加することは確認された。 本結果から可視光硬化型ゼラチンにPEGDAを添加しリボフラビンを光増感剤として使用した硬化体が毒性も少なく、物性が高いため臨床で使用される可能性が高いことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では直接覆髄・断髄、さらには根尖性歯周炎により破壊・吸収された骨や歯周組織の再生に有効な光硬化型スキャホールドを開発することを目的とする。本年度は可視光硬化ゼラチンに求められる物性ならびに安全性について評価を行った。その結果リボフラビンにPEGDAを添加することにより硬度が増加し、なおかつ毒性も低いことが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では以下の項目を通じて直接覆髄・断髄さらには歯髄再生、根尖性歯周炎により破壊・吸収された骨は歯周組織の再生に有効な光硬化型スキャホールドを開発することを目的としている。すなわち(1)材料の調整および最適化(2)覆髄・歯髄再生能評価(3)歯周組織再生能評価である。令和元年度は平成29年度、平成30年度に引き続き(1)材料の調整及び最適化について一定の評価を得ることができた。令和2年度は(2)覆髄・歯周組織再生能評価(3)歯周組織再生能評価についての実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
可視光硬化型ゼラチンと口腔内細菌の関係を検討するため当初の予定にはなかった細菌検査を加える予定である。可視光硬化型ゼラチンは硬組織軟組織の両方に接着する特性があることが今回の研究で確認された。将来はGBR法、知覚過敏防止剤への応用が期待できる。そのため口腔内細菌と本材料との関係について検討する必要があると考え延長を申請する次第である。なお細菌検査については本年度も一部実施しているが次年度はより詳細にデータ収集を行う予定である。
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