2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of widely use new method to eliminate oral biofilms to prevent pneumonia
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17K11768
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
河相 安彦 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50221198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 統 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (10267106)
水口 俊介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30219688)
村田 比呂司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (40229993)
木本 克彦 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70205011)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / 口腔健康管理 / バイオフィルム / 抗菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年2月に行われた研究会議で、ヒト唾液の抗菌効果を加味した検討が必要であるとの結論から、平成31年度にヒト唾液に含まれる抗菌物質であるC. albicansに特異的な抗菌作用を示すβ-defensin 3、 histatin 5およびIgAの抗菌物質の唾液中濃度の測定から、C. albicansに対する感染防御能やバイオフィルム抑制が個人レベルでの把握を目的とした検討を実施した。被験者は健常者20名(男性10名、女性10名、平均年齢25.7 ±1.95歳)で、1日2回、連続7日間の安静時唾液を採取し、唾液中抗菌物質濃度をELISA法にて測定し、IgAは日内変動(午前中に低値を示す)を認め、β-defensin 3,histatin 5およびIgAの有意な日間変動を認めなかった。その結果、臨床試験ではC. albicansに対する感染防御能を個人レベルで把握するため,IgAが低値を示した午前中に唾液採取を行う事が示唆された。また測定に関して、Histatin 5は経時的に真菌数が減少する傾向を示したことから,試験対し亜種直後の測定が必須であることがわかった。令和元年度に前年度の検討に基づき、室温や日内変動の影響についての要因を検討しより厳格で新たなプロトコールの作成し、それに基づき研究を進めた条件探索実験を行なった。さらに臨床試験のプロトコルに平成30年度に行った結果に基づき測定時期を午前中と定め、臨床試験を開始した。現在被験者の収集率はおおよそ50%に達している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度に行った研究結果から、β-defensin 3は経時的に真菌数が増加する傾向を示した。一方、histatin 5は経時的に真菌数が減少する傾向を示した。また、最大濃度のhistatin 5とコントロールの間に真菌数が6時間経過時に有意な減少を認めた。ATP活性値ではβ-defensin 3は経時的にATP活性値が増加する傾向を示し、最大濃度のβ-defensin 3とコントロールとの間に6時間経過時でATP活性値は有意に高い値を示した。感受性試ではβ-defensin 3およびhistatin 5は全濃度において阻止円を形成せず、薬効効果を示すほどの抗菌作用はないことが明らかになった。平成31年度において、別の継続課題としていた青色光(スポットライトα)にて10~60秒間にて10秒おきに6条件で照射を行った結果、予備実験ではあるが20秒、40秒、60秒の20秒間隔での照射での臨床試験を行うこととし、バイオフィルムの数量化について検討した。また、臨床試験の開始にあたり、被験義歯のパイロットスタディを行なった。その上、臨床試験のプロトコルに平成30年度に行った研究結果である測定時期を午前中として、臨床試験を開始した。以上のことから概ね順調に研究は進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は引き続き、20名の被験者に全部床義歯または部分床義歯を通法に従い機械的および化学的清掃法を実施し、義歯に青色光を基礎研究で検討した至適条件にて照射する。被験者には3日間義歯の清掃をしない状態で来院をしていただいたのち、従来の機械的および化学的清掃法を実施する。対照群は、義歯に光照射を行わず、3日間清掃をしない状態とする。 バイオフィルムの形成を観察し、バイオフィルムの付着を定量化を行うため、河相・水口・木本克彦でバイオフィルムの数量化と付着菌の測定を細菌数測定装置 細菌カウンター(DU-AA01NP-H、パナソニックヘルスケア株式会社)を用いて行う。また、義歯の表面から細菌を採取しコンパクト恒温器カルボックスCB101(株式会社テックジャム)で培養し、定量化を行う。また歯垢染色液プロスペック(ジーシー)で染め出し後、面積測定器PLANIX7(タマヤ計測システム株式会社)にて染め出された面積(バイオフィルム)の数量化を河相が行う。
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Causes of Carryover |
臨床試験の実施率が50%程度であり、引き続き研究を終了し、結果をまとめるために次年度使用額が生じた。使用計画として、バイオフィルムの数量化と付着菌の測定のために、表面から細菌を採取しコンパクト恒温器で培養し、定量化を行う過程の費用に充てる。また歯垢染色液プロスペック(ジーシー)で染め出し後、面積測定器PLANIX7(タマヤ計測システム株式会社)にて染め出された面積(バイオフィルム)の数量化を行う費用に充てる。この、歯垢染色液プロスペック染め出し後、の面積測定器をもちいたバイオフィルム面積の数量化には、画像処理をハイスペックなPC端末で処理して、計測する必要がある。現在手持ちの機器では処理能力が劣り困難であるため、その機器購入に費用を充てる予定である。
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