2017 Fiscal Year Research-status Report
生体親和性と抗菌性を有する傾斜機能型バイオセラミックスの開発
Project/Area Number |
17K11816
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
横井 由紀子 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (60469012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 敦 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (00532772)
大須賀 直人 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (80247535)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 二酸化チタン / 光触媒作用 / 傾斜機能 / 焼結体 |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化チタンはその触媒作用が注目され歯科材料へ応用を試みるための研究が行われている.我々は,触媒作用を有し,かつ生体適合性の良好な二酸化チタン焼結体を歯科生体材料として応用することを目的に,傾斜機能を保持する材料の検討を進めている.出発材料の形状が異なる二酸化チタン粉末から,実験用試料となる焼結体を作製した.生体材料としての機械的強度を調節するため、材料力学的観点から検討できるよう試料の作製および計測法を検討している。 本研究の目的である,ルチル型およびアナターゼ型二酸化チタン焼結体におけるマウス線維芽細胞およびマウス骨芽細胞様細胞の細胞増殖について計測を行っていく.アナターゼ型二酸化チタンについてはさらに焼成温度を変えて焼結体を作製したときの結晶相の変化や細胞の増殖に与える影響および色素分解能の変化について計測している.ルチル型二酸化チタン焼結体では,マウス骨芽細胞様細胞を培養し,生細胞数およびALP活性を比較を行う実験をした.コーティング剤である水溶性二酸化チタンにも着目し光触媒作用を計測した.触媒作用を有し,かつ生体適合性に優れる二酸化チタンの特性を発揮させる傾斜機能材料の検討を進めている.これまでの研究から作製したルチル型およびアナターゼ型二酸化チタン焼結体は,焼成温度によって色素分解能力および細胞増殖能が異なることが判明し,傾斜機能を付与できる生体材料としての有用な材料であることを確認している.二酸化チタンのこれらの特性を応用して,ぬれ性・防汚性・細胞接着性に優れる材料開発を目指した研究を遂行している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
焼結条件を変えたり,異なる形状の出発原料で試料を作製しているため、多くの組み合わせ条件が考えられるが,その中で機械的強度試験および細胞培養試験に適する形状を確立できた。さらに水溶性二酸化チタン材料を使用し触媒作用の計測が行った。焼成した試料と水溶性二酸化チタンともに比較的強い光触媒作用があることを評価できた。ルチル型二酸化チタン焼結体では,マウス骨芽細胞様細胞を培養し,生細胞数およびALP活性を比較を行った。アナターゼ型二酸化チタン焼結体の細胞培養試験の予備実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
アナターゼ粉末から焼成条件を変えた試料を多く作製し、機械的強度の変化を材料力学的観点から計測する。それとともに現在臨床で使用されているハイドロキシアパタイトやジルコニアとの比較が必要であると考え、同形状の試料作製を行う。これに伴いハイドロキシアパタイトやジルコニアの焼結条件を設定するための予備実験が必要である。これらの試料を材料力学的知識および研究方法を獲得するため、専門知識の教示をいただき、実験方法を考案する。細胞培養試験や光触媒作用を計測する試験や抗菌作用試験を行う。
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Causes of Carryover |
セラミックスの物性を細かく検討するため、限られた試料片の形態から詳細なデータを出し、入念な試験方法の検討が必要であった。知識の教示のため愛知学院大学に通い、その物性をさらに詳しく検討できる実験方法を検討していた。セラミックスは金属材料と異なり、形態を自由に形成するには難しい。セラミックスはプレスなどで型に圧接してから焼結するが収縮が大きくまた陶材の様に釉薬などのほかの物質は使用できないため、試料片の形態を自由に調整することは困難である。現在ある物性試験は、ある程度試料片の形態が決められている。本実験で使用する二酸化チタン焼結体をその試料片形状にするのは現時点では難しい。材料試作や研究は行って実験データも出ているが、力学的データ解析を行っていたため、現時点まで大きな材料費が必要ではなく、多くの試料の作製を中心に行っていた。現時点で、一つの方法としてひずみ計を使用して物性を計測することを検討している。その他のデータは実験を行い出ているため、研究発表および論文執筆を行っていたため、執行状況が低かった。 今後の使用計画は、細胞培養実験や抗菌実験、論文執筆および学会発表の費用として使用する予定である。
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