2017 Fiscal Year Research-status Report
表面電荷とタンパク質吸着特性の制御による骨形成を促進するインプラント体の創製
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17K11817
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70513670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 潤 朝日大学, 歯学部, ポストドクター (20778138)
近藤 雄三 朝日大学, 歯学部, 助教 (30778139)
近藤 信夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40202072)
近江 靖則 岐阜大学, 生命科学総合研究支援センター, 准教授 (50313713)
田辺 俊一郎 朝日大学, 歯学部, 准教授 (60227197)
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70533446)
神谷 真子 朝日大学, 経営学部, 准教授 (80181907)
玉置 幸道 朝日大学, 歯学部, 教授 (80197566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表面電荷 / タンパク質吸着 / チタン / ジルコニア / インプラント / リン酸緩衝液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①チタン板の表面電荷の検討として、チタン板表面のゼータ電位を電気泳動光散乱光度計を用いて、pH 5.7~8.0の条件下で測定し、②PB浸漬後チタン板の親水化の検討として、円盤状のチタン板を100 mMあるいは10 mMのPB(pH5.7‐8.0)または超純水に室温で24時間浸漬し、2時間乾燥させた後、チタン表面の親水性を評価した。さらに、③PB浸漬後チタン板のタンパク質吸着の検討として、円盤状のチタン板を各種pHの100 mM PBまたは超純水に室温で24時間浸漬し、ヒト血清(コスモバイオより購入)に37℃10分間浸漬し、洗浄後、表面に吸着したタンパク質を定量した。また、④チタン基板の表面解析として、円盤状のチタン板を100 mM PB(pH5.7, 7.4)または超純水に室温で24時間浸漬し、2時間乾燥させた後、チタン基板表面へのリン酸イオンとナトリウムイオンの吸着について、XPSにて解析し、この条件のチタン盤上でヒト骨髄由来幹細胞(hBMSC)を培養し、⑤PB浸漬後チタン板上でのhBMSCの増殖を検討した。 その結果、① 実験に用いたチタン板では、pH6.4付近に等電点がみとめられ、② PB浸漬後チタン板に親水化がみられ、100 mM PB に浸漬することで超親水性が得られた。また、③ ヒト血清タンパク質の吸着では表面に電荷のみとめられたpH5.7, 7.4, 8.0のPBに浸漬したチタン板へのタンパク質の吸着量が増加しており、④ いずれのpHのPBに浸漬した群でもNa1sおよびP2pのピークが観察されたが,pH 5.7 PB浸漬群へのPの吸着が顕著であった。培養系での評価では、⑤ 播種後48時間のhBMSCの増殖は等電点付近のpH 6.4 PB浸漬群を除いた群で、未処理のコントロール群よりも有意に増殖が促進され、pH 7.4 PB 浸漬群で顕著であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに実験を進めることができ、pHの異なるリン酸緩衝液に浸漬したチタン板の動態を、ゼータ電位および接触角の測定、表面の元素分析によって検討し、pHの変化によりチタン板の表面特性に変化がみられたことから、チタン板表面へのタンパク質の吸着を検討することの意義と今後の実験指針が得られたため。また、浸漬する緩衝液を検討することで、インプラント材料の簡便な術前処理方法の開発にもつながることが示唆されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果をふまえ、ジルコニア材料で同様の検討を行うとともに、細胞培養系では、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞に加えて、骨芽細胞、血管内皮細胞等を使用し、無処理のチタンやnanoZrを対照に、細胞接着性、細胞増殖等を検討し、さらに、未分化細胞では骨芽細胞への分化動態についても検討するため、リアルタイムPCRによる骨芽細胞マーカー遺伝子の発現変化や骨形成関連タンパク質のウエスタンブロット解析を行う。また、水溶液浸漬処理が細胞動員におよぼす影響を評価するため、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞、血管内皮細胞の、血清タンパク質を吸着させた試料への遊走性についても検討する。 骨髄由来間葉系幹細胞、骨芽細胞の分化についてはALP活性や石灰化の度合いを定量し、その結果から、動物実験にて比較検討する試料の条件の絞り込みを行った後、ラット大腿骨ミニインプラント埋入モデルを作製する。試料(チタンおよびnanoZr)には、前年度の検討で絞り込みを行った処理を施し、大腿骨に埋入後、一部には経時的なトルク試験の実施による骨接合部の解析を行う。また、埋入部の非脱灰研磨切片、およびパラフィン包埋切片作製も経時的に行い、インプラント体周囲の組織応答過程で、どのような細胞が機能し、どのようなタンパク質が発現、局在しているのか、組織化学的、免疫組織化学的解析を行う。
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[Journal Article] Gene expression analyses associated with malignant phenotypes of metastatic sub-clones derived from a mouse oral squamous cell carcinoma Sq-1979 cell line.2018
Author(s)
Adachi M, Mizuno-Kamiya M, Takayama E, Kawaki H, Inagaki T, Sumi S, Ohashi M, Muramatsu Y, Sumitomo S, Sikimori M, Yamazaki Y, and Kondoh N.
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Journal Title
Oncol Lett
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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