2018 Fiscal Year Research-status Report
癌の新生血管を正常化させるサイトカインCXCL14の臨床的意義
Project/Area Number |
17K11860
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
生駒 丈晴 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (10638290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 優 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00162024)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CXCL14 / VEGF / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、2006年にサイトカインCXCL14が強力な癌抑制性ケモカインであることを初めて明らかにしてから現在に至るまで、CXCL14の抗腫瘍効果メカニズムの解明について研究を続けている。癌の抑制メカニズムは多岐にわたるが、近年我々は血管新生抑制について注目し、研究を進めている。これまでの研究でCXCL14には血管新生を阻害する作用があり、癌組織の成長を抑制する重要な分子であることが証明されたが、CXCL14には受容体が存在せず、作用が不明な点がいまだに多い。そこで我々はいくつかの血管新生に関与する分子との結合に着目し、そのメカニズムを解明することを目的とした。 平成30年度は主にCXCL14と血管新生因子の結合能についての解析を進めた。データマイニングで得られた情報からCXCL14や血管新生に関連性が強いと思われる遺伝子群のピックアップを進めた。実際にマイクロアレイによって発現変動を示した遺伝子群のうち、データマイニングによって抽出された遺伝子群についてはreal-time PCR法や免疫沈降法によって結合能について検討を進めた。さらに血管内皮細胞の増殖能及び運動能へのCXCL14の効果は、セルカウント、MTTアッセイ及びスクラッチアッセイで検討する予定であった。我々が行う実験手法についてはこれまでの研究においても使用してきた方法で、すべて確立されている。データマイニングによるデータ解析についてもは以前の研究で確立した方法で有用性が高く、信頼性の高い解析と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データマイニングで得られた情報からCXCL14や血管新生に関連性が強く、発現変動を示す遺伝子群について、real-time PCR法を用いて検討し、血管新生に関連すると思われる遺伝子群の抽出は終了している。マイクロアレイによる発現変動を示した遺伝子群が、CXCL14の血管新生因子 (VEGFなど) への結合による阻害によるものと考えられ、免疫沈降法を用いて結合能について検討まで研究は進んでいる。血管内皮細胞の増殖能及び運動能へのCXCL14の効果についてセルカウント、MTTアッセイ及びスクラッチアッセイ等を用いて検討する予定であったが、機能面の検討はできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイの解析結果からCXCL14の血管新生因子 (VEGFなど) への結合による阻害によるものと考えられ、免疫沈降法を用いて結合能について検討まで研究は進んでいる。血管内皮細胞の増殖能及び運動能へのCXCL14の効果についてセルカウント、MTTアッセイ及びスクラッチアッセイ等を用いて検討する予定であったが、機能面の検討はできていない。まずはin vitroでの検討を進める。またDiVVAシステムを用いて、in vivoでの管新生因子に対する抑制効果の検討進める予定である。このシステムの概要は、研究者が着目する血管新生因子及び血管新生因子を含有させたコラーゲンゲルを移植用微小チューブ内に充填しマウスの背部皮下へ移植、最終的にはチューブを取り出し、チューブ内に侵入した血管内皮細胞を特異的抗体で検出するシステムである。今回我々はコラーゲンゲル中にCXCL14及びそのターゲットとなりうる血管新生因子を含有させることで、CXCL14の血管新生阻害効果を検討する。本研究結果から、CXCL14の選択的血管新生阻害作用を定量的に証明することが可能となる。以前DIVVAシステムを使用したことがあり、実験手法は確立している。
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Causes of Carryover |
消耗品の使用が当初予定していたよりも抑えられたため、使用金額と差額が生じたと思われる。
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