2017 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌のリンパ節転移能の獲得に伴う免疫抑制機構の改変とその調節因子の制御
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17K11891
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
近藤 信夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40202072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 裕 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (90250464)
藤内 祝 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (50172127)
光藤 健司 横浜市立大学, 大学病院, 准教授 (70303641)
住友 伸一郎 朝日大学, 歯学部, 教授 (50216496)
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70533446)
神谷 真子 朝日大学, 経営学部, 准教授 (80181907)
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70513670)
梅村 直己 朝日大学, 歯学部, 助教 (80609107)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IL-1α / H2 / 間葉系間質細胞 / 口腔扁平上皮癌 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは既にOSCC細胞株(Sq1979)が、間葉系間質細胞(10T1/2)を介して、抗CD3抗体で刺激した脾細胞のIFN-γ産生能を抑制するが、Sq1979細胞移植マウスの転移リンパ節巣より樹立したL5細胞にはその抑制効果が見られないことを確かめた。このSq1979系細胞のもたらす免疫抑制促進効果は、細胞の放出する液性因子に依存し、一方10T1/2による刺激脾細胞の抑制には、脾細胞との細胞同士の接触が必要であることを重ねて確かめた。この液性因子を同定するため、cDNAマイクロアレイ法を用いてL系細胞に比べSq1979系細胞で発現の高いサイトカイン遺伝子群を検討し、IL1α に着目した。その中和抗体やたんぱく質を用いて機能解析を進めた結果、Sq1979の馴化培地中に存在するIL-1αが、10T1/2細胞による刺激脾細胞の抑制作用を増強することが判明した(投稿準備中)。 IL-1αの作用で10T1/2細胞が変化し、免疫抑制作用が促進される可能性が考えられたので、IL-1α処理、未処理の10T1/2細胞よりRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ解析を行った。IL-1α処理で発現の上昇した遺伝子群を、Gene Ontology解析し、機能的に重要と思え有れる遺伝子群をスクリーニングした。その結果、マウス Class II組織適発現原遺伝子(H-2)のグループが誘導されていることが示された。マイクロアレイの情報に基づき、定量的-PCR法で、IL-1α処理後の10T1/2細胞で、Cd1d1, Cd74, Eps8l1, H2-B1, H2-K1, H2-L, H2Q10, H2-T23, TapbpなどのmRNA発現が上昇していることを突き止めた。 一方、申請者らは、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)が、Sq1979およびL5-11細胞の免疫抑制作用に及ぼす影響を検討する系をin vivoにおいて検討している。今後はin vitroの系のみならずin vivoにおいてもさらに検討を進めてゆく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、免疫抑制に関与するOSCC由来の液性因子であるIL-1αを同定することに殆ど時間が費やされたが、その機能解析の一環としてのT101/2細胞に誘導される遺伝子群の解析がほぼ順調に進んでおり、それらに対する機能解析に至る道筋が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は、IL-1α処理後の10T1/2細胞で、Cd1d1, Cd74, Eps8l1, H2-B1, H2-K1, H2-L, H2Q10, H2-T23, Tapbpなどの発現が免疫抑制に及ぼす作用を検討する。そのためにはマウス組織適合抗原分子の構成要素に対するsiRNAや中和抗体を用いて阻害し、機能解析を行う。また、NSAID投与マウスにおけるSq1079及びL5細胞の挙動について検討し、NSAIDによるCOX2遺伝子産物(PGE2など)阻害によるMDSCの誘導状況の変化を観察する。
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Research Products
(10 results)