2017 Fiscal Year Research-status Report
一次・二次軟骨におけるガレクチン3の機械的刺激負荷応答の相違について
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17K11942
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺尾 文恵 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10510018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (70241643)
春山 直人 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (70359529)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 軟骨分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、マウス胎生期の下顎頭形成初期において、下顎頭原基に発現するガレクチン3の軟骨分化における役割、および機械的刺激負荷時における軟骨分化メカニズムへの関与について、研究を進めている。 マウス胎生期のガレクチン3タンパクは、マウス胎齢14日の下顎頭原基に局在し、胎齢17日では、増殖細胞層、成熟細胞層、肥大軟骨細胞層および関節円板の細胞層に局在し、下顎頭形成初期から継続して発現していることを確認した。 また、下顎頭原基由来細胞の高密度培養において、ガレクチン3ヒトリコンビナントタンパクの添加により、軟骨ノジュール形成が抑制された。単層培養においては、siRNAを用いてガレクチン3発現をノックダウンしたところ、siRNA導入2日目において有意に細胞増殖が抑制された。ガレクチン3は、下顎頭原基由来細胞の分化を抑制し、増殖を促進する役割を有する可能性が考えられた。 さらに、下顎頭原基由来細胞へ機械的伸展刺激の負荷により、負荷30分後にガレクチン3タンパクの発現が有意に上昇し、軟骨分化マーカーSox9の発現の減少傾向が見られた。負荷30分後には、FAKのリン酸化が上昇し、60分後にはAktのリン酸化が上昇する傾向にあることも確認した。これらのことから、機械的伸展刺激の負荷条件下における下顎頭原基由来細胞の軟骨分化制御メカニズムにおいて、ガレクチン3が何らかの役割を果たしている可能性のあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に盛り込まれていなかった、機械的刺激負荷条件下ではなく、通常の状態における軟骨分化におけるガレクチン3の役割を確認する実験を行った。その後、平成29年度の研究計画にある機械的伸展刺激の負荷におけるガレクチン3発現の変化と様々なシグナル伝達経路の解析を行った。siRNAによるガレクチン3のノックダウンの基礎的な実験は終了しているが、ノックダウン条件下における伸展刺激負荷実験は平成30年度中に行うこととなる。また、細胞局在についても平成30年度中に行うこととなり、進捗状況はやや遅れているが、平成29年度の基礎データを踏まえてすぐに行える実験であり、それほど大きくは遅れていないと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
機械的伸展刺激負荷によるガレクチン3発現上昇について、免疫蛍光細胞化学染色法により細胞局在の変化を観察する。あらかじめガレクチン3のsiRNAの導入を行い、ガレクチン3発現ノックダウン条件下における機械的伸展刺激負荷下でのFAKやAktシグナルの活性化の変化を調べる。
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Causes of Carryover |
いろいろな培養条件を検討下結果、予想よりも高濃度のリコンビナントタンパクを添加して細胞培養をする必要があったため、購入予定であった滑走式ミクロトームを購入できなかった。今後の使用計画は、ミクロトームの購入を見送り、さらに追加して必要なリコンビナントタンパクの購入や抗体の購入に使用する予定である。
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