2020 Fiscal Year Annual Research Report
Prevention and mechanism of radiation-ralated dental caries: Muiticenter randomized contoroled trial
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17K12013
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
五月女 さき子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (20325799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 正博 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (60301280)
長谷川 巧実 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50546497)
山田 慎一 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 准教授 (50380853)
渋谷 恭之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90335430)
上田 順宏 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40571005)
兒島 由佳 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70720655)
山口 泰平 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (80230358)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線多発う蝕 / 多施設共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸がんに対する放射線治療(RT)の重篤な晩期有害事象の一つに放射線性顎骨壊死(ORN)がある。照射方法の進歩とともにORNの発症頻度は近年では低くなってきたが、依然として10~20%程度の患者に発症し、患者のQOLを低下させる大きな原因となっている。 実際にRT前と1年後、2年後のパノラマX線写真を比較したところ、急速にう蝕が進行する患者が少なからず存在することを確認した。う蝕多発者では唾液腺だけではなく歯に対する照射線量が60Gy以上と多かったが、口腔衛生状態はう蝕が発生しなかった患者と差はなく、さらに上顎あるいは下顎のみに照射された患者では照射された顎にのみう蝕が多発することや、片側の照射例では照射された側にのみう蝕が多発することが明らかとなった。本研究は、1)RT後の多発う蝕の実態を多施設共同後ろ向き観察研究で明らかにすること、2)RT後に歯を含む歯槽部が切除された患者の切除検体を用いてRTによる歯の直接障害の有無や程度について調べること、および3)トレー法によるフッ化物局所応用によりRT後のう蝕多発が予防できるかどうかを多施設共同ランダム化比較試験により検証することを目的とするものである。そこでまずは後ろ向きに調査した。その後ろ向き研究では、口腔がん手術単独例では2年後のう蝕増加数は0.6歯であったのに対して、RT患者では4.9歯と有意に多かった。放射線性う蝕の特徴としては、①歯頸部からの発生が多い、②疼痛などの自覚症状に乏しい、③歯頸部から歯が破折して初めて発見されることも少なくない,④歯の黒変,あるいは歯冠歯質の軟化がみられることもある、⑤歯質の欠損がない、あるいはC2までの状態で歯根膜腔の拡大や根尖病巣を認めるというものであった。そこで実際に頭頸部がんRT患者10例を1年間観察したところ新たなう蝕の発生はみられなかった。現在特定臨床研究として開始準備中である。
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