2017 Fiscal Year Research-status Report
食品原料ブラッククミンの抗菌・口臭抑制効果と作用機作解明
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17K12032
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
石川 正夫 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (50597250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 貴俊 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10313529)
泉福 英信 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (20250186)
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Fusobacterium nucleatum / ブラッククミン / チモキノン / メチルメルカプタン / メチオニン代謝活活性 / メチオニンγ-リアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
古くから民間の食材や香料等として用いられてきたブラッククミン(Nigella sativa L.)に着目し、その種子精油について口臭および歯周病に対する効果を明らかにするため、原料の確保と含有成分の分析を行った。原料のブラッククミン種子はインドより入手し、ブラッククミン種子精油(BCSと略す)を原料として得た。BCS含有成分の確認はGCMS(Agilent 7890/5975C)を用いて同定した。 その結果、BCS中の成分として、α-Pinene、α-Thujene、β-Pinene、Sabinene、 Limonene、1,8-Cineole、p-Cymene、α-Longipinene、Longifolene、Terpinen-4-ol、Piperitone、 l-Carvone、 Thymoquinone、p-Cymene-8-ol、Thymol、Carvacrol、Thymohydroquinoneの17成分を確認した。 これら成分の口臭産生菌Fusobacterium nucleatum ATCC25586(Fn菌)に対する抗菌力を最小発育阻止濃度(MIC)より評価した結果、BCSは0.0063%、Thymohydroquinoneが0.0013%、Thymoquinoneが0.0031%であり、Thymol、Carvacrolも各0.0125%で抗菌活性を示した。しかし、その他の成分は、MICが0.05%~0.1%の範囲であり、抗菌活性に、より高濃度を必要とした。 次に歯周病菌Porphyromonas gingivalis ATCC33277、う蝕原因菌Streptococcus mutans ATCC25175ならびに乳酸菌のLactobacillus acidophilus JCM132を用いMICを評価した結果、Porphyromonas gingivalis ATCC33277もFn菌と類似し、BC、Thymohydroquinone、Thymoquinone、Limoneneで0.0025%~0.0063%で抗菌活性を示した。しかし、Streptococcus mutans ATCC25175およびLactobacillus acidophilus JCM132に対しては、BC、ThymoquinoneのMICは、各0.0125%、0.1%と弱かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度は、BCSの含有成分に対する口臭産生菌、歯周病菌、う蝕原因菌はじめ乳酸菌の抗菌力をMIC値より確認したが、その他の関連細菌での効果は、あまり実施できなかった。その原因として、嫌気性細菌の多くが偏性嫌気性菌であり、使用した嫌気ボックスの嫌気度低下が培養に影響した可能性も考えられる。しかし、4種の代表的な菌株での評価が行えたことから、達成率としては80%程度と考える。また、本年度の実績には記載しなかったが、本研究では口臭産生菌のバイオフィルムに対する浸透・殺菌効果を確認することを目的としており、初年度に、Fn菌単独ではバイオフィルムの形成が難しい中、Fn菌と他の口腔細菌との組合せによるバイオフィルムの形成技術はじめプラーク形成細菌のMV(メンブランベシクル)との組合せによるバイオフィルム形成にほぼ成功したことから、今後の研究への期待が高まった。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は、口臭産生菌のバイオフィルムを用いた、BCS、TQ、Thymolおよび殺菌剤の塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの浸透殺菌効果を共焦点レーザー顕微鏡により確認する。また、BCSおよび含有成分の口臭原因成分であるメチルメルカプタンに対する消臭効果を確認する。
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Causes of Carryover |
本年度、BCS含有成分の分析を外部委託する予定だったが、原料メーカーよりデータを入手でき、約25万円の経費節約ができた。H30年度は、直接経費120万円と繰越経費25万円の計145万円うち、研究成果発表を国内発表3件、海外発表1件を予定しており、そのための旅費として75万円、さらに、バイオフィルム作成と薬剤の浸透殺菌効果を見るための物品費として40万円、さらにその他として30万円を予定している。 H31年度は、直接経費60万円のうち、添削も含めた研究成果の投稿料、報告書作成のための費用として25万円、研究成果発表の旅費として30万円、さらにその他として5万円を予定している。
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Research Products
(4 results)