2019 Fiscal Year Research-status Report
終末期患者の口腔ケアに関する口腔擦過細診による客観的評価法確立および評価表の作成
Project/Area Number |
17K12061
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
遠藤 眞美 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (70419761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 裕之 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70256890)
野本 たかと 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (80246925)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 死生学 / 終末期医療 / プロフェッショナリズム / 口腔ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は研究機関中に終末期患者に対する口腔ケアアセスメントシートを作成し,それを用いて死を迎える終末期患者とその家族が穏やかで満足な死を迎えられるように口腔ケアを行う医療者が適切な関わりを行えるようにするものである。 初年度は歯学部4年生を対象とした調査を行い,学生の死生観は自身の死別経験によって異なることを明らかにした。2年度目は,学生の死生観が各人の死別経験だけでなく,生死に関する系統的な教育で変化するかを調査したところ,生や死を意識させながらの教育が医療人としての死生観や倫理観の形成,終末期患者への偏見などの軽減に有効であるとわかった。しかし,前年度までの対象は臨床実習直前の学生であり,医療人のプロフェッショナル教育が行われていると予想できた。そこで,本年度は,低学年への早期教育の必要性を検討するために歯学部1年生を対象に終末期医療,生や死などに対する意識や知識を調査した。知識は最も知っている割合が少なかったのが「グリーフワーク」20%(23人),「胃瘻」35%(40人),他にも「終末期」61%(70人),「献体」60%(69人)とメディアなどで使用している言葉であっても理解していないことがわかった。身近な人との死別経験者は77%(89人)で,そのうち16%(14人)は死別経験が歯学部選択に影響したと回答した。胃瘻造設に関する意見を求められ場合“関わりたくない”が死別経験ありで14.6%(13人),死別経験なしで23.0%(6人)であった。近年,終末期医療が求められ,教育でも行われているがその中で用語などの知識の説明をする機会は少ない。そのため,知識は本人の興味に委ねられる。昨年までに行ってきた調査において興味のないものは知識率も低かったことから,今後は低学年から生や死を意識した教育を導入することで終末期患者やその家族と向き合える人材の育成につながると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までに理解された意識調査によって作成するアセスメントシート応用時には系統的な教育と各医療人の死生観や意識の重要性が理解でき,本年度は低学年の知識・意識調査も必要と研究方針の一部を変更した。知識・意識調査に関しては順調に進んでおり,問題はないと考えている。 一方,昨年度までの結果を踏まえて,歯科医療者を含む口腔ケアを実施する医療者が円滑に利用しやすいアセスメントシートを作成していくと同時に、実際の施設で口腔ケアを必要とする終末期患者の口腔内状態の把握,細胞レベルでの評価に関して口腔擦過細胞診を実施によって行う予定であった。しかし,すでに協力体制をとっていた施設の感染症対策や経済的理由で訪問ができなくなり,本内容については検討が中断してしまったことで残たいとしてはやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,歯科医師,歯科衛生士を目指す学生の知識・意識調査を継続すると共に,看護師,言語聴覚士などの口腔ケアに関わる医療職を目指す学生の意識調査についても検討をいている。最も重要な内容として,施設で口腔ケアを必要とする終末期患者の口腔内 状態の把握,細胞レベルでの評価を口腔擦過細胞診を実施を行い,早急にアセスメントシートを作成すると同時に施設や病院職員の終末患者の口腔ケアに対する意識調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に行う予定であった終末期患者の入所している予定していた施設が施設側の感染予防,経済的理由による人材の配置等で実施できなかったことで,そのために使用する予定で あった消耗品,備品の購入が次年度となったために差額が生じた。令和2年度では変更した計画通り施設での調査に関わる消耗品にあてる。具体的な実施内容として,医師が終末期患者として捉えている要介護高齢者を対象に,申請者が所属している講座関係者が診療を実施している施設に入所している要介護高齢者に対して質問票調査,顔貌写真および口腔内診査を行う。口腔内診査では,歯数や口腔清掃状態などの口腔内診査後,カラーチャートと共に口腔内ビデオカメラで口腔内を撮影する。口腔水分計(モイスチャーチェッカー:ライフ社製)等を使用し口腔乾燥状態を検査する。可能な場合は口輪筋および舌圧測定を行う。その後,口腔内の舌背部,口蓋部,頬粘膜部,歯肉または歯槽堤の口腔粘膜に対して口腔擦過細胞診を実施し,その後,採取した細胞を通法に従って染色して観察する予定である。
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Research Products
(5 results)