2018 Fiscal Year Research-status Report
神経筋疾患の嚥下障害が栄養障害に及ぼす影響に関する研究
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17K12069
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
梅本 丈二 福岡大学, 医学部, 准教授 (30320287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 伸助 福岡大学, 医学部, 助教 (20735584)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
古谷 博和 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (60253415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経筋疾患 / 栄養障害 / 嚥下障害 / 二重標識水法 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経筋疾患患者の嚥下障害の進行と体重減は必ずしも相関するとは限らない。二重標識水法は、酸素の安定同位体と水素の安定同位体を生体内に取り込み、自然存在比より安定同位体比の高い状態にした後の減衰率を測定することにより、エネルギー消費量に換算する。実際には、投与前と投与後4時間、投与後1日、14日に採血行っている。本法により、体重減少の原因が摂食・嚥下障害によるものか、摂取エネルギー量の不足によるものかを明らかにする。 昨年度から被験者の登録を開始し、現在14名の検体採取が完了している。疾患別値訳は、筋強直性ジストロフィー患者が8名、ペリー病患者が3名、多系統萎縮症患者が3名となっている。既に登録された被験者の嚥下障害の評価はすでに終了しており、検体数の増加を待って、嚥下障害スコア、栄養障害、体格指数、消費エネルギー量との相関関係を分析する。 嚥下障害に関しては、神経筋疾患患者の舌厚みと舌圧の経時的変化についてまとめた。筋萎縮性側索硬化症(ALS)21名、筋強直性ジストロフィー(DM1)20名、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)13名の舌厚みと舌圧の経時的変化を検討した。舌の厚みは、超音波画像診断装置を用いて、舌圧は口腔内バルーン式測定装置を用いて測定した。舌厚みと舌圧の初回測定値の平均値は、ALS群43.6mmと19.8kPa、DM1群46.6mmと12.5kPa、DMD群56.1mmと19.5kPaであった。経時的変化については、舌厚みに3群間の有意差はなかったが、舌圧はALS群が他群よりも有意に大きかった。初回と最終測定値の有意差は、ALS群の舌厚みと舌圧、DMD群の舌圧に認められた。以上の結果から、ALS群の舌厚みと舌圧、DMD群の舌圧は数年間で低下する一方、DM1群は舌圧が低いものの、短期的には舌厚みと舌圧が変化しないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
二重標識水法を行うにあたって、入院中および場合によっては退院後外来にて合計4回の採血を行う必要があり、患者にとっては軽い負担ではなく、研究への参加をためらわせる要因となっている。分析結果を被験者に積極的にフィードバックするなど、被験者を募る方法を再検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
既に登録された被験者の嚥下障害の評価はすでに終了している。検体の増加を待って、酸素の安定同位体と水素の安定同位体の生体内に取り込み後の減衰率を測定し、エネルギー消費量に換算する。さらに、嚥下障害スコア、栄養障害、体格指数、消費エネルギー量との相関関係を分析する。 筋強直性ジストロフィー患者については、症例数が目標を超え次第学会報告を行う。ペリー病患者については、少数例での症例報告をしたい。多系統萎縮症患者はさらに被験者を募り、統計処理に耐える症例数を目指す。
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Causes of Carryover |
被験者数が現在14名と目標数に達していない。試薬として用いる二重標識水の使用量、解析費用も予定より下回っている。今後、被験者数をさらに募って、二重標識水の使用量の増加と解析費用の追加が予想される。
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Research Products
(6 results)