2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Negative Feelings in Nurses toward Patients and How Support the Nurses
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17K12100
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
松浦 利江子 金城学院大学, 付置研究所, 准教授 (50535995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (20299879)
松浦 明宏 中京大学, 国際教養学部, 教授 (60344636)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 道徳的感受性 / 患者-看護師関係 / 陰性感情 / 自尊感情 / 看護倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護実践の過程において、患者に対して陰性感情をもつ看護師の経験に着目し、多角的に検討して、関連要因を明らかにしたうえで、それをふまえた看護師支援策を構築することを目的としている。 これまで実施してきた《調査1》の結果を踏まえ、令和2年度から令和3年度に、《調査2》看護師を対象としたインタビュー調査を実施し、患者に対して陰性感情をもった場面に関する臨床看護師がかかえている問題意識および対処方法、支援に関するニーズを明らかにすることに取り組んだ。その結果、看護師は経験年数に関係なく、患者に対して陰性感情をもった時に一時的にネガティブな心理状態になる場合もあるものの、その後、患者の行動の意味の理解に努める方向に思考を切り替えていた。その際、専門知識やスタッフ間での情報交換等が看護実践の支えになっていた。また、看護師の考えの底流には常に、患者を尊重すること、患者からの理解を得ることを重視する価値観があった。 患者尊重の志向性に揺るぎがない結果を受けて、再び《調査1》のデータに立ち返り、道徳的感受性を目的変数にした重回帰分析を実施した(自由度調整済み決定係数0.24)。その結果、道徳的感受性と関連している項目は、陰性感情経験に対する嫌悪感と共に、自尊感情が高いこと、仕事に対して自分の意見が反映されていると思うこと、仕事にやりがいを感じていることも有意に関連することが明らかになった。 以上から、看護師が直面する患者に対する陰性感情経験への支援としては、経験の頻度よりも、その経験に対して看護師がもつ嫌悪感に注目すること。そして、そのような患者の言動が示す意味を理解するための支援、自尊感情を高める支援、仕事に意見を反映できるための支援、やりがいを感じるための支援が臨床場面に即した看護師支援策であることが示唆された。
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