2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K12102
|
Research Institution | The Japanese Red Cross Toyota College of Nursing |
Principal Investigator |
中島 佳緒里 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 准教授 (90251074)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 聡子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (80285238)
竹内 貴子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 助手 (70387918)
安達 亜希 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 助教 (10794068)
酒井 梓 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 助手 (90768805)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 軽擦法 / リラクセーション / 身体反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,国内の軽擦法を用いた介入研究について文献検索を行い,効果指標とした項目について抽出した。医学中央雑誌Web版ならびにグーグルスカラーを用いて,「タクティールケア」をキーワードに過去10年間検索し,原著論文107件がヒットした。その中から症例報告,手技の紹介を除いた20件の文献を分析した。20件の内訳は基礎研究11件,臨床研究9件であった。研究デザインはRCT0件,クロスオーバーデザイン3件,被験者間比較試験2件,コントロールのある被験者内比較試験6件,前後比較8件,記述3件であった。主観的指標による効果では,軽擦法の介入によって,POMSやTMS,STAIを用いた「気分の改善」や「不安の軽減」,VASや記述での「眠気」「脱力感」「温かい」といった身体反応,「痛みの緩和」の症状改善といった効果が認められていた。一方,客観的指標については,介入によって,HRやBPの低下,心電図や唾液による副交感神経活動の亢進が認められた報告もあるが認められないとする報告もあり,見解の一致が得られなかった。体表温度については,効果指標として用いた7文献すべてにおいて上昇したことが報告されており,軽擦法による重要な効果であることが示唆された。 これらの結果を基に先行研究の再実験として,11名の協力者を得て,客観的指標であるHR,HF,LF/HF,サーモグラフィーによる体表面温度の測定を軽擦法前後で行った。その結果,HR,HF,アフェクトグリット,顔面・両手掌の体表面温度において,施行前と比較して施行後で有意差が認められた。従って,実験環境下では軽擦法による副交感神経の活動亢進は明らかであった。しかし,LF/HFでは施行前後で有意差がなく,接触による緊張などの影響があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画上では,仮尺度を用いて介入研究を行う予定であったが,先行研究における効果指標の抽出に時間がかかってしまった。文献検索の結果も対象者数が少なく,一致した見解が得られていない状況であり,仮尺度の作成までには至らなかった。平成30年6月までに文献により抽出された項目と,情動反応における身体反応,表面温度ならびに接触に伴うオノマトペなどを用いた表現語を加えた仮尺度を作成する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
作成した仮尺度を用いて,軽擦法(Swedish massage)を150回(3回×50名)施行し,介入中・後のデータを収集する。対象者は研究者が勤務する大学内で募集する。これらの結果から表現語を再尺度化し,予備尺度を作成する。質問項目は基礎看護技術に携わる看護教員5名とSwedish massageの技術習得をした看護師2名で検討し,尺度項目の表現や適切性を確認する。 次に,ICUやHCU,SCUの熟達看護師を対象に意識障害の患者の快・不快をどのように観察し判断しているのかをインタビューを用いて収集し,尺度に追加する観察項目について検討する。
|
Causes of Carryover |
軽擦法の客観的指標による効果判定を行うために,脳波あるいはサーモグラフィーの購入を検討しているために,平成29年度分を平成30年度に使用額を移行した。文献検討と先行研究の再実験の結果をもとに,軽擦法による効果を何で測定するのかを決定し,測定機器を決定する予定である。
|