2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of support programs to promote unlearning of nurses who transferred from other wards.
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17K12172
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
山口 多恵 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (00597776)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中堅看護師 / アンラーニング / 回復期リハビリテーション病棟 / 配置転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:一般病棟から回復期リハビリテーション病棟へ配置転換した経験の語りを収集し、アンラーニングの構成要素を解明しプロセスモデルを作成する。 研究方法:一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会に所属している施設の看護師とし、一般病棟で5年以上の経験があり、回復期リハビリテーション病棟へ配置転換した看護師とした。インタビュー内容は,配置転換した際に、今までの看護の考え方や方法・価値観の違いに戸惑ったことや、配置転換当初は違和感を覚えたが自分の考え方や方法・価値観を変えたことで今は当たり前になっていること、すなわちアンラーニングしたこと、一般病棟で実践していた看護と回復期リハビリテーション病棟の看護の違いを感じたことについて語りを収集した.インタビュー手法は、フォーカスグループインタビューを用いた。本研究のような因子探索的な研究を行う場合に最も適している(Vaughn,1996,井下監訳,1999)と考えたからである。インタビュー時間は60分から90分程度とし、インタビュー内容は許可を得てICレコーダーに録音、音声データを逐語録に起こし分析データとした。分析内容の信頼性と妥当性の確保のため、分析過程と抽出された結果について、複数の看護管理専門家および臨床の看護管理からスーパーバイズを受けた。
結果:5施設の看護部長から23名の看護師の紹介を受けた。アンラーニングのプロセスを構成する要素は【気づき】【葛藤】【棄却】【獲得】【受容】【定着】の6因子で構成されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究依頼文を送付した75施設のうち14施設から同意書の返信があり(回収率18.7%)。そのうち日程の調整が可能となりインタビューが実施できた施設は5施設(35.7%)であった。5施設の看護部長より中堅看護師23名の紹介を受けた。中堅看護師の属性は、女性が 21 名(91.3%)、男性が2名(8.7%)であった。年齢は、20歳代が2名(8.7%)、30歳代が7名(30.4%)、40歳代が 13 名(56.5%)、50 歳代が 1 名(4.3%)であった。一般病棟での勤務経験は、5~10年未満が11 名(47.8%)、 10~15年未満が7名(30.4%)、15~20 年未満が4名(17.4%)、20~25 年未満が1名(4.3%)であった。回リハ病棟での勤務経験は、5年未満が10名(43.5%)、 5~10 年未満が 10 名(43.5%)、10~15 年未満が2名(8.7%)、15~20年未満が1名(4.3%)であった。 本研究において明らかにした回復期リハビリテーション病棟の中堅看護師のアンラーニングは、今までの患者への対応方法では通用しないことや、今までの経験で培ってきた価値とは異なる価値の存在等への【気づき】があり、患者を介助したいという気持ちを抑えることや、配置転換当初はリハ看護技術を発揮するという期待に応えられないことに対して【葛藤】が生じていた。更に治療中心の価値に基づく看護師のペースで仕事をする考え方を【棄却】し、看護師の関わり方次第で患者の今後の人生が決まるという考え方や、患者を介助することから見守ることを重視する価値を【獲得】し、リハチームの中で看護師が貢献しているという実感や、患者の多様な回復過程を【受容】することを経て、患者の希望するリハゴールを尊重することや、リハは多職種で行うという考え方が【定着】するという6因子で構成されていることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アンラーニングの体験を問う質問紙の作成および内容の洗練を重ね、仮説モデルの検証を行う予定である。 平成29年度に解明したアンラーニングのプロセスの仮説モデルの構成要素は内容分析により導いた結論であるため、重ねてテキストマイニングソフト(N-ViVo)による分析を検討している。この場合、N-ViVoを購入する必要が生じることを想定している。 また、仮説モデルの検証においては、計画段階では一時点の横断的サンプリングとしていたが、異なる集団において検証を行うことで、データの信頼性が高まることを鑑み、2回にわたり検証のためのデータを収集することを検討している。 回収データを基に共分散構造分析によりアンラーニングのプロセスの仮説モデルの検証を行う予定である。 更に、検証結果で明らかになったアンラーニングを促進する要素に関する内容を基に支援プログラムの原案を作成する。支援内容については,実践適用の可能性をより高めるために、現場の管理者によるエキスパートパネルを繰り返し実施し、支援内容をブラッシュアップする予定である。
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Research Products
(1 results)