2018 Fiscal Year Research-status Report
配置転換を経験した看護師のアンラーニングを促進する支援プログラムの開発
Project/Area Number |
17K12172
|
Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
山口 多恵 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (00597776)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 中堅看護師 / アンラーニング / 回復期リハビリテーション病棟 / 配置転換 / 共分散構造分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:一般病棟から回復期リハビリテーション病棟へ配置転換を経験した中堅看護師のアンラーニングのプロセスの仮説モデルの適合度を検証する。 研究方法:2017年度の研究成果に基づき、アンラーニングのプロセスの仮説モデルおよび仮説モデルの検証に用いる量的データを収集するための質問紙を作成した。また、プレテストを実施し質問項目の内容妥当性や回答への所要時間、回答する際に起こりうる問題、回答のしやすさ等、文章の表現やレイアウト、設問順番に関する意見を収集した。プレテストによる意見を基に質問紙を修正し実現可能性を確認した後に全国調査を実施した。全国の1,087施設、5,435名の看護師を対象とした。分析方法は、記述統計および、共分散構造分析を用いた。 結果:6つの潜在変数、22の観測変数により作成した仮説モデルのデータへの当てはまりを示す適合度指標は、χ2(201)=1841.92、p<0.000、GFI=0.87、AGFI=0.83、RMSEA=0.09となり、概ね基準を満たしたが、適合度指標および観測変数間の相関行列によりモデル修正の示唆が得られた。修正モデルの検討は、まず仮説モデルの因子構造の理論的根拠に基づき内容妥当性を踏まえた因子構造の再検討とパスの追加を検討した。その後、観測変数の意味内容の類似性を点検し観測変数の削除を検討した。その結果、修正モデルの適合度指標はGFI=0.95、AGFI=0.93、RMSEA=0.06となり適合度指標の改善を確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度のインタビュー調査およびデータ分析が順調に進展したためインタビュー結果に基づく質問紙をスムーズに作成することができた。そのため、全国調査の実施が予定より早期に可能となり、回収まで余裕をもって対応することが可能となった。全国調査の回収率は29.5%であったが、同意チェック欄への未記入や対象条件外の看護師からの回答などを除外すると有効回答率は約20%とやや低値であったが、配布数が多かったため、分析に耐えうるだけのサンプル数の確保ができた。分析の対象となった中堅看護師1,099名のうち1,047名(95.3%)は女性であり男性が52名(4.7%)であった。平均年齢は、44.11± 8.02歳であり、40歳代以上が754名(68.6%)を占めていた。看護師経験年数は、20.54±8.03年、一般病棟経験の平均年数12.96±7.06年と10年以上ある者が862名(61.3%)を占めていた。一方、回復期リハビリテーション病棟経験年数は4.55±3.49年であり、回復期リハビリテーション病棟で10年以上の経験がある者は108名(9.8%)であった。 回復期リハビリテーション病棟への異動は、希望で異動したものが424名(38.6%)、非希望は675名(61.4%)という結果であった。 サンプル数が十分に確保できたことより、計画していた仮説モデルの検証が可能となり今年度の計画は順調に進展していると判断する。 現階までの研究成果を投稿済みである(Journal of Advanced Nursing)。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、今回検証したモデルの信頼性を確認するために異なる集団において再調査・検証を行うこと、さらに検証結果で明らかになったアンラーニングを促進する要因に関する内容を基に支援プログラムの原案を作成することを目指す。支援内容については、実践適用可能性を高めるために、エキスパートパネルを繰り返し実施し、内容の洗練を図る。最終的には病棟の管理者が現場で活用できる支援プログラムの原案を作成し、実践適用可能性を評価するフィージビリティ―スタディを計画している。 地域特性の影響を回避するため、可能な限り偏りが生じないように全国の回復期リハビリテーション病棟での実施を計画している。 研究を遂行する上での課題は、フィージビリティスタディを実施する際に現場の管理者に負担が生じる可能性があることである。現場の管理者によらず、研究者が直接関与できる方法・手段を踏まえて検討する必要がある。
|